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実験報告3 2009年 夏休みの自由研究

2010年1月28日

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仙台市 中学3年生 進藤翔太くん
■研究テーマ:広瀬川の水質調査 (最終報告)

調査目的:
仙台市を代表する広瀬川は、私たちの生活にも関わりが深く、その水質が保たれているか確かめたくて、2006年から2009年までの4年間、上流・中流・下流の3ヶ所で観測してきました。
調査地点・調査状況: (調査ポイント)
上流:作並温泉の川辺の遊歩道を選びました。
中流:芋煮会が行われる牛越橋を選びました。
下流:千代大橋(国道4号バイパスのところ)のたもとを選びました。
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広瀬川の全体像と調査ポイント


◆調査の様子◆
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調査項目 アユが住める水質 アユがすめる水質
(水産2級)
調査方法
COD 水中の汚れを表す指標で,値が大きいほど汚れている。

上流は TOC1mg/L以下
中流・下流はTOC3mg/L以下

発色テスト
浮遊物質量 5mg/L以下 吸引濾過重量法
リン酸イオン 肥料の成分であり、微生物にも含まれる。魚などの生物の栄養分になるが、多すぎると水中の溶存酸素が減り、「アオコ」・「赤潮」の原因になる。生活排水の流入によって増えることが多い。 0.15mg/L以下 発色テスト
しょう酸性ちっそ

あしょう酸性ちっそ
合計0.6mg/L以下 試験紙
アンモニア性窒素 発色テスト
透視度 水の透明度を表す。 (数字が大きい方が透明な水) 自作した透視度計
pH 水が酸性か中性かアルカリ性かを表す。通常の川は中性。生活排水や工場排水が流入すると酸性やアルカリ性になる。 6.5~8.5
(中性の領域)
酸性雨の影響で値が小さくなる
試験紙
周りの音・様子 水がきれいなら、流域に生息する昆虫の鳴き声がする。自動車の走行音など市街地は人工音が大きくなる。 騒音55dB以下 騒音計他
水温・気温・湿度     温・湿度計
塩化物イオン 塩分が濃くなると値があがり,淡水魚生物が生息できなくなる  200mg/L以下が望ましい  
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◆◆◆2006年から2009年の水質調査の結果◆◆◆
COD
1.cod
過去の調査結果: 2006年   2007年   2008年

いずれの測定日でも、 下流のCODが高く、上流のCODは低い結果でした。 2007年の3日連続調査をみると、天候による影響が大きいことがわかります。 2007年8月17日のどしゃぶりのときは水が非常に濁っていて、上流・中流・下流すべてCOD値が高い状態でした。 翌日・翌々日は曇っていたものの、雨は降らなかったので、次第にCOD値はさがっていきます。 雨が降ると川の水が濁り、天候の回復とともに、CODの値も下がってくることがわかりました。
上流から下流にかけて、川全体が天候の影響をうけて水質が変動することがわかりました。
中流・下流はCOD値が天候によらずに基準を超えているので、川の汚れがあることがわかります。
浮遊物質量
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この浮遊物質量の検査は2009年にのみ行いました。 川の水を持ち帰り、実験室でそれぞれ500mLずつフィルターに吸引ろ過して、水中の浮遊物質(1マイクロメートル以上の濁っている粒子)をフィルターに捕らえ、乾燥させました。 吸引ろ過前後のフィルターの質量増加を天秤で秤量して、浮遊物質量を求めました。
上流から下流まで、すべて広瀬川の基準を満たしていました。 吸引したフィルターを見ると、水中の汚れが圧縮されたような状態で観察できます。 上流から下流にいくに従って、浮遊物質量が増えていくことがわかりました。

2.fuyu_busshitu02
2009年の広瀬川の水
りん酸イオン
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過去の調査結果: 2006年   2007年   2008年

いずれの測定日でも、 下流のりん酸イオンの濃度が高く、上流の濃度は低い結果でした。 2007年の3日連続調査をみると、天候による影響が大きいことがわかります。 2007年8月17日のどしゃぶりのときは水が非常に濁っていて、上流・中流・下流すべてでCOD値が高い状態でした。翌日・翌々日は曇っていたものの、雨は降らなかったので、次第にりん酸イオン濃度はさがっていきます。 雨が降ると川の水が濁り、川底の石に付着しているコケや、川底に堆積している物質などが川の水に巻き込まれて、水中に溶け込むために濃度が上がるためではないかと思います。
天候の回復とともに、りん酸イオン濃度が下がってくることがわかりました。
上流から下流にかけて、川全体が天候の影響をうけて水質が変動することがわかりました。
上流・中流・下流すべて、基準値をこえています。 調査したのが夏なので 、川辺の生物が増えていたために、りん酸イオン濃度が全体的に高いのかもしれません。
硝酸性窒素+亜硝酸性窒素
4.shousan_ashousan
過去の調査結果: 2006年   2007年   2008年

いずれの測定日でも、 下流の濃度が高く、上流の濃度は低い結果でした。 2007年の3日連続調査をみると、天候による影響が大きいことがわかります。
りん酸イオンと同様に、 雨が降ると川の水が濁り、川底の石に付着しているコケや、川底に堆積している物質などが川の水に巻き込まれて、水中に溶け込むために濃度が上がるためではないかと思います。 上流と中流の濃度が近いことは意外でした。
下流になると、川の近くに畑が多くなっています。 畑の窒素肥料の影響がでているかもしれません。
アンモニア性窒素
5.anmonia

このアンモニア性窒素(アンモニウムイオン濃度から計算)は、2009年にのみ行いました。 アンモニア性窒素は、 塩化アンモニウムなどを含む化学肥料の流入や、動物の尿によって濃度があがります。 幸いにして、上流・中流・下流すべてで検出されませんでした。
透視度
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過去の調査結果: 2006年   2007年   2008年

ペットボトルを連結して自作した透視度計を使って検査してきました。
いずれの測定日でも、 上流の透視度が高く、下流は低い結果でした。 2007年の3日連続調査をみると、天候による影響が大きいことがわかります。 2007年8月17日のどしゃぶりのときは水が非常に濁っていて、上流・中流・下流すべてで透視度が低い状態でした。翌日・翌々日は曇っていたものの、雨は降らなかったので、次第に透視度は上がっていきます。
上流から下流にかけて、川全体が天候の影響をうけて水質が変動することがわかりました。
この透視度は、水の透明度・きれいさを表す指標なので、 汚れの指標のCODグラフと逆の形になっています。
pH
7.ph
過去の調査結果: 2006年   2007年   2008年

生物がすめる川であるためには、川の水が中性 (pHが7付近) でなければなりません。 水が酸性になると、魚が繁殖しなくなるといわれています。
上流から下流にかけて大きな違いはないものの、全体的に酸性に偏っているように読み取れます。 酸性雨の影響があるかもしれません。
pH は、天候の影響をあまり受けないことがわかりました。
塩化物イオン
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この塩化物イオン濃度の検査は、2009年にのみ、モール塩滴定法を用いて行いました。 塩化物イオンは、塩分を表し、海水(3%食塩水)では18000mg/Lにもなります。 広瀬川の水質に塩化物イオン濃度の基準値はありませんが、 「飲料水の基準として、 200mg/L以下」 があるので、今回の調査に適用しました。 200を超えると 、 本来、無味でなければならない飲料水に味がついてしまいます。
上流から下流にかけて、非常に近い濃度でした。 上流から下流にいくにつれて増える水の汚れとは別に、広瀬川本来の姿を表している値のように思います。
参考に、 自宅の水道水(釜房ダム系)の塩化物イオン濃度をはかってみたら、広瀬川の値に近い濃度でした。
騒音
9.souon

騒音の検査は、2009年にのみ行いました。
2008年までは、川の周辺の音を耳で感じて記録してきました。 今年は、音の大きさを数字で表す騒音計を使いました。

上流では,セミの声が大きく響いていました。
中流では,セミの鳴き声が少しと、自動車の走行音が混じっていました。
下流では、セミの鳴き声は聞こえず、 仙台大橋をわたる自動車の走行音が大きく聞こえました。
去年までは、上流は静かで、下流はうるさいと感じていましたが、上流もセミの鳴き声で音量が大きいことを知りました。 セミが鳴かない夜間なら、上流から下流にいくにつれて音量が大きくなる結果になったかもしれません。
上流・中流の音量からセミの鳴き声を差し引いてみようと考え、陸前白沢の広瀬川沿いの崖音量を測定してみました。 この場所は、自動車の走行音も川のせせらぎ音も聞こえず、セミの声だけが聞こえていました。 結果は65dB と、上流の音量よりも大きかったため、バックグラウンド値として差し引くことができませんでした。
上流・中流・下流すべてで基準値を超えましたが、セミの声の影響が大きかったので、ただしい評価はできません。



■調査を通じて感じたこと:
広瀬川の流域は、上流は空気と水がとてもきれいで虫の声が聞こえ、2006年にはサルも見ました。
中流では川底の藻がついていて、虫の声はあまりきこえませんでした。下流では川底の石にヘドロが付いていました。 広瀬川の水質調査をしてみて、晴れの日、雨の日、曇りの日すべてで、天候の影響をうけつつ、上流から下流にいくにつれて、水が少しずつ汚れていくのが分かりました。川の周辺の人口が多くなるにつれて川は汚れているように感じます。しかし、思ったよりも水がきれいだと思いました。
透視度計を年々パワーアップして調査しましたが、意外とよく見えて、驚きました。中流でもアユを釣る人を見ました。広瀬川は、中流まではアユが住むことができるようです。

どしゃぶりの日は、上流から下流まで、水が汚れています。この汚れは、山の土が溶け出して泥水になってしまったからだと思います。どしゃぶりの日の翌日には、
上流から中流はだいぶきれいになりました。翌々日には、上流から下流まで、晴れた日と同じようにきれいに回復していることがわかりました。一度雨がふると、2日ほどかかってきれいな水にもどるようです。
しかし、どしゃぶりのときの川の汚れは、自然の土によるものです。人間の生活排水や工場の排水が川に流入してしまうと、かんたんにはきれいにならないかもしれません。この調査だけではわからない川の汚れもあると思いますが、 ぼくたちは、大切な広瀬川を汚さないように気をつけながら、ピクニックや芋に会、キャンプで利用していきたいと思います。ぼくたちの子どもも、広瀬川で川遊びができるように大切にしたいと思います。人々が川を汚していると思うととても悲しくなります。
これからは川を汚さないようなアイディアを考えるのがぼくたちの重大な宿題だ、、、と思いました。

今年は調査項目を増やしてみました。上流から下流にいくにつれて結果が大きく変化しない塩化物イオン濃度に驚きました。広瀬川全体にわたって、本来の姿のような気がします。

4年間を通して広瀬川の定点観測をしてきましたが,下流でも透視度が高く、まだまだきれいな川だと思います。仙台市を代表する川なので、これからも、いい水質を保っていければいいなと思います。

広瀬川沿いに生活する市民や川沿いの事業者は、日々、広瀬川の清流を守る条例の規制をうけて活動しています。その一方で、芋煮会などのレジャーとして広瀬川を利用する市民も、清流を守る意識をもたなければ、きれいな広瀬川を未来に残せません。