理化学用ガラス
柴田科学はお客様に信頼のある品質と適正な価格で応えるため、日々改善活動を実施しています。
またガラス加工品は総合カタログなどに未掲載であっても特注加工として承ります。ぜひご相談ください。
1. はじめに
私たちが子供のころ学校の理科室にあったビーカー。そして今また見ている化学実験用ガラス器具の各種…。
たとえ直径3cm(10mL)の小さいビーカーにも1921年創業以来、今日まで約100年の歴史を歩んできたものが脈々と息づいています。
柴田科学は理化学用のガラス加工を本業としてスタートし、現在ではさまざまな分野で専門的な役割を果していますが、これからも品質にこだわりながら信頼もお届けします。
2. ガラスの材質とマークについて
当社では、ガラス製品の材質を下記のような材質マークで表記しています。
カタログ品名の末尾や、製品に材質マークを入れています。
素材グレード | 材質マーク | ブランド名 |
---|---|---|
ほうけい酸ガラス-1 | DURAN®, PYREX | |
ほうけい酸ガラス-2 | DUROBAX® | |
ほうけい酸ガラス-2 | 硬質ガラス | |
ソーダ石灰ガラス | 並質ガラス |
3. ガラス器具の種類と役割
ガラス製容器 | 理化学用ガラス容器は、化学薬品類を注いだり・熱をかけたりするため、素材が特に重要です。 DURAN®, PYREXガラス(ほうけい酸ガラス-1)は耐熱性・化学的特性に優れています。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ビーカー |
液体の取り出し・運搬・混合・反応・蒸発などに用います。 口を細めたコニカルビーカー、長めのトールビーカー、普通型の3種類があります。普通型のものをグリフィンビーカーとも言います。 目盛は概略(APPROX)で体積計ほど正確ではありません。 ※引火性の溶媒などを入れた場合は、気化や引火に注意。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
フラスコ |
液体の受器、反応、分析・蒸留などに用いる容器です。 丸底と平底がありますが平底は圧力や熱的ひずみに弱いので、多くは受器として用います。 多口型は蒸留フラスコとして薬品注入、温度計、分留管、冷却器、撹拌機などの付設器具を同時に組み込むことができます。 注)フラスコに液を入れる場合は、その容量の半分程度(多くても2/3どまり)にします。実験に当たって使用するフラスコの容量を適正に選ぶ必要があります。 注)平底型は応力に弱いので基本的に受器以外には使用しません。逆に丸底型は机上に立てることができないので、受台を用意する必要があります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
三角フラスコ |
受器や滴定分析用容器などに用います。 エルレンマイヤー・フラスコと呼ばれることもあります。 目盛は概略(APPROX)で体積計ほど正確ではありません。 注)フラスコに液を入れる場合は、その容量の半分程度(多くても2/3どまり)にします。実験に当たって使用するフラスコの容量を適正に選ぶ必要があります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
枝付きフラスコ |
枝管の高さ(位置)や枝管の長さについての定めはなく、分留用に用います。 注)フラスコに液を入れる場合は、その容量の半分程度(多くても2/3どまり)にします。実験に当たって使用するフラスコの容量を適正に選ぶ必要があります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ケルダールフラスコ |
頸部(首)が長く混合効果に優れています。 また球状部の均温性も良いと言われています。 注)フラスコに液を入れる場合は、その容量の半分程度(多くても2/3どまり)にします。実験に当たって使用するフラスコの容量を適正に選ぶ必要があります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
試験管 |
少量の物質を取り分けるときに使用します。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シャーレ |
ペトリ皿ともいいますが、ガラス製とプラスチック製があり、試料の保存や微生物の培養に用いられます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ロート(漏斗) |
常圧(自然)ろ過には三角ロートに濾紙を折りたたんで用います。 また減圧(吸引)ろ過にはブフナ型ロート(ヌッチェ)の目皿の上に濾紙をおき、吸引びんと組み合わせてアスピレーターや真空ポンプなどで減圧して使用します。 いずれにしてもろ過すべき沈殿物の粒径に応じて濾紙の質を選び、ろ液と同質の液(普通は蒸留水)でロートに十分密着しておきます。 ガラス製と磁製があり、目的にあったものを選びます。濾紙が使用できない薬品に対しては、それに耐えるろ材を選ぶ必要があります(ガラスろ過器など)。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分液ロート(分液漏斗) |
2相を形成する液の分離に用いられ抽出操作に不可欠です。 一般には丸型とスキーブ型がありますが、混液のうち片方の液が少ない場合はスキーブ型が使い易いです。 必ずロート台や切り欠きリングなどを用います。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
冷却器 空気冷却器 |
沸点の高いもの(約200℃以上)に用いる冷却器です。 冷却水は使わず外気で冷やし蒸気を液化させます。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
リービッヒ冷却器 |
オーソドックスな冷却器で一般に傾斜状態で使用します。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ウエスト冷却器 |
リービッヒ冷却器にくらべて、外套部分が細いのが特徴です。 リービッヒ冷却器と同じ使い方です。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
球入冷却器 (アリン冷却器) |
還流用の冷却器として垂直にたてて使用します。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
蛇管冷却器 (グラハム冷却器) |
蛇管の中を蒸気が通過するうちに冷却されて液化します。 冷却水は蛇管の外側全体を覆っているので、高い冷却効果が得られます。垂直にたてて使用します。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジムロート冷却器 |
沸点の低いものに用いる冷却器です。 冷却水は蛇管の中を流れます。垂直にたてて使用します。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
二重管式冷却器 |
小型で冷却効率のよい冷却器です。 低沸点の溶媒精製などに用います。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
フリードリッヒ冷却器 |
垂直にたてて使用しますが、蒸気は斜め上から流れてきて冷却され液化します。 溶媒の精製、分解、反応などに用います。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
デシケーター |
固形物質の乾燥に使用します。一般的には電気定温乾燥器を用いたりしますが、物質により乾燥温度が試料に適しているかどうかを検討してから試料を器内に入れます。 デシケーターによる乾燥の場合は常温・常圧で行い、封入する乾燥剤の平衡蒸気圧に相当する含水率まで乾燥させるもので、一昼夜くらいの放置時間が必要です。◎真空デシケーターを用いると乾燥速度を大きくすることができます。 しかし急激に減圧するとデシケーター内の微粉末が舞い上がるので、ゆっくり減圧しなければいけません。 また反対に急激に常圧に戻した場合も試料や乾燥剤が飛散するので、ゆっくり常圧に戻します。 減圧にアスピレーターを用いる場合は、水の逆流で思わぬ失敗をすることがあるので、必ずバッファータンクをつけて使用します。
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ガラス体積計 ガラス体積計の特徴 |
当社のガラス体積計は製品によって素材分けがなされています。 出用製品はDUROBAX®、受用(入用)製品はほうけい酸ガラス1を用いています。
◎きわめてよい ○よい △やや劣る ×劣る |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
出用と受用(入用) |
◎出用 TD=To Deliver(管壁の液切れ重視)
ガラス素材=DUROBAX®(出用専用)を用います。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◎受用(入用) TC=To Contain ガラス素材=ほうけい酸ガラス1(DURAN®、PYREX)を用います。 メスシリンダーなど目盛まで入れて判定する、これを受用(入用)製品といいます。 【例】受用(入用)製品 ・全量フラスコ(メスフラスコ) ・首太全量フラスコ(短型メスフラスコ) ・メスシリンダー ・有栓メスシリンダー |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
カスタムと スーパーグレード カスタムA スーパーG |
◎カスタムA製品:JIS R3505のクラスA精度です。 ◎スーパーグレード製品:JIS R3505のクラスA精度より高精度 ※両グレードの製品とも、トレーサビリティが確立しています。体積計カスタムAとスーパーG一覧
※駒込ピペットやバイオピペットはJIS規格制定はありません。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
トレーサビリティー |
当社のガラス体積計の実体積測定方法はJIS R3505-1994年に基づいて行っています。 JIS R3505-1994年では、衡量法及び比較法と呼ばれる2種類の測定方法が決められています。 衡量法とは「体積計に受け入れられた水又は体積計から排出された水の質量,及び温度を測定して実体積を求める」方法で、当社ではこの方法を用いて体積計の試験を行っています。 もう一つの比較法とは、「体積計に受け入れられた水又は体積計から排出された水の体積を標準ビュレット又はこれと同等の性能をもつ体積標準器によって測定する方法」です。 当社で行っている衡量法は、前述のように質量、温度の計測によって算出される組立量です。ですから、体積計については質量及び温度についてトレーサビリティを確立しています。 質量については、東京都計量検定所にてJCSS校正された分銅を社内標準器とし、測定に用いる天秤を定期的に校正しています。 温度については、(一財)日本品質保証機構にて校正された温度計を社内標準器とし、測定に用いる温度計を定期的に校正しています。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
体積計の種類 メスシリンダー |
JIS規格クラスA基準の「スーパーグレード」と「カスタムA」があります。 両方ともTC(受用(入用))の製品で、試薬濃度の調整などに使用します。 また本体には左右2通りの目盛が刻んであります。 同じ受用(入用)のメスフラスコに比べ、胴径が大きい分だけ精度(許容誤差)はラフになります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
メスフラスコ |
無色透明と茶褐色のメスフラスコがあり、両種ともJIS規格クラスA基準の「スーパーグレード」と「カスタムA」があります。 目盛は1本の回線が入っておりTC(受用(入用))の製品です。 一定の試薬濃度を調整するときに使用します。 ①一定の試薬濃度を調整するときに使用します。 ②無色透明と茶褐色の栓は「共通すり合わせ」です。 ③SPCジョイントの栓もあります。(ただし無色透明のみです) |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ビュレット |
下部のコック(活栓:ガラス・PTFE)を操作しながら、ビュレット内の液を排出し滴定や試薬調整、添加などに用います。 このビュレットは手軽に操作できますが、必ずビュレット用架台とビュレット用挟みが必要です。 ①「ガラスコック」・・真空グリスを塗布して使用します。 ②「PTFE製コック」・・真空グリスを嫌う場合に用います。※気密性においては「ガラスコック」に比べて、「PTFE製コック」は若干気密性に乏しく、許容範囲内の液モレは生じます。よって使用しないときは試薬を抜いておいてください。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
自動ビュレット |
当社の自動ビュレットは、すべて「スーパーグレード」の精度で製作しており、TD(出用)の製品です。主に滴定用として使用さています。 活栓を操作して所要の液を流出させますが、活栓には「ガラス製コック」「PTFE製コック」「平面コック」の3種類があります。 また、「無色透明ガラス」のほか、遮光目的の「茶褐色」、目盛の読み取り精度をあげる「青筋入り」の自動ビュレットを揃えています。 ①「ガラスコック」・・真空グリスを塗布して使用します。 ②「PTFE製コック」・・真空グリスを嫌う場合に用います。 ③「平面コック」・・操作性(微量排出)に優れています。※気密性においては「ガラスコック」に比べて、「PTFE製コック」と「平面コック」は若干気密性に乏しく、許容範囲内の液モレは生じます。よって使用しないときは試薬を抜いておいてください。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ピペット |
一定量の液体を採取する目的でピペットがあります。 母液の中に先管を浸し、ピペットの上部から陰圧にして液を吸い上げ、ゆっくりと目盛り線まで排出して一定量に合せる。添加、調整、滴定などの目的で使用します。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
駒込ピペット |
比較的少量液を粗分量ほど採取し、その液をほかの容器に注入・滴下するときに便利なピペットです。 粗分量ピペットですのでTD(出用)~TC(受用(入用))の区別はありません。 また駒込ピペットはJIS R3505にありません。 通常スポイド的な方法で操作しますので、ゴム球などが必要になります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ホールピペット |
メスピペットと同様に「スーパーグレード」と「カスタムA」の2種類があり、 いずれもJIS規格クラスA基準のTD(出用)製品です。 ①ホールピペットは別名「全量ピペット」といい、目盛は1ヵ所(1本)です。 ②メスピペットと同様TD(出用)で使用する製品ですので、 ガラス素材には液切れのよいDUROBAX®を採用しています。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
メスピペット |
「スーパーグレード」と「カスタムA」の2種類があり、いずれもJIS規格クラスAの精度で、ガラス素材は液切れのよいDUROBAX®を採用したTD(出用)の製品です。
①先端目盛製品 ②中間目盛製品 ③大穴製品 |
4. ガラス器具の正しい洗浄方法
まず基本ですが、使用した器具は乾燥させないことがポイントです。
面倒でも直ちに水や洗剤、試料によっては溶剤などに漬け置きします。
特にタンパク質系、油脂系は乾いてしまうと厄介です。
①洗剤は中性、頑固な汚れは酸性がおすすめ
タンパク質や植物系油脂の洗浄であれば濃硫酸だけの漬け置きでも効果が得られます。
濃硫酸は複数回の使いまわしが可能です!そのため洗浄用の濃硫酸を準備しておくと便利です。
②アルカリ洗剤の注意点
一般的にアルカリでpH8以上、温度45℃以上の場合ガラスの浸食速度が大きくなります。 浸食されたガラスは全体的に白く濁り、白斑も生じ、体積計の精度低下や破損につながってしまいます。 またアルカリ洗剤で漬け置きをした場合、共栓などすり合わせ部分の劣化が促進されてしまいます。 そのため気密が取れず、液漏れの原因となります。 洗浄効力の高いアルカリ洗剤ですが、汚れの性質や程度を見極めて使用することが大切です! 長く漬け置きするとよい、ということではありません。 無駄な漬け置きに注意してください。 |
|
アルカリにおける白濁及び超音波洗浄で生じた白斑現象 |
■洗浄にはシバタクリーンA(エース)をおすすめします! | |
柴田科学ではガラスはもちろんのこと、各種金属素材の実験器具の他、半導体関連など、多方面の洗浄にお使いいただける中性・無リンの洗剤、「シバタクリーンA(エース)」を取り扱っています! 無機・有機、グリス、タンパク質、血液、放射性物質等の汚れに対応した界面活性剤を主成分としています。 |
汚れが極端な場合は1日漬け置きし、その後水洗いをしてください。
汚れ程度と洗剤希釈倍率及び濃度
汚れ程度 | 希釈倍率 | 濃度 |
普通の汚れ | 50倍 | 2% |
ひどい汚れ | 20倍 | 5% |
極端な汚れ | 10倍 | 10% |
特徴
- 非PRTRのため、排水汚染の心配はありません。
- 廃液は活性汚泥により短期間に分解できます。
- 腐食性及び皮膚や衣類への影響もなく、取り扱いが容易です。
- 不燃性のため、ガス発生の心配もありません。
- すすぎ効果、消泡性および低温における洗浄効果も優れています。
- 汚れに応じて希釈でき、また繰り返し使用可能なため、大変経済的です。
シバタクリーンはどれほどの効果があるのか、実験してみました!
↓詳しくは製品情報をご覧ください。
品目コード | 含有物 | pH値 | 容器 | 内容量kg |
050810-700 | 有機酸、非イオン界面活性剤、 植物油、アルコール類、純水 |
6.5~8.5 | ポリエチレン | 2 |
050810-800 | 20 |
※2kgタイプは約2.04L、20kgタイプは約20.4L入になります。
※サンプルご希望の場合はお問い合わせください。
5. ガラスに関する用語
他社製品との名前の違い
当社のガラス関連製品は、機能は同じでも他社製品と名称が違う製品があります。
当社製品名 | 他社製品名 | |
---|---|---|
径違い管(径違いアダプター) | = | アブザッツ |
ブフナロート | = | ヌッチェ |
角型クランプ | = | ムッフ(クランプホルダー) |
ロート | = | 漏斗(ろうと) |
球面すり合わせ | = | ボールジョイント |
平栓(共通すり合わせ、SPC) | = | ストッパー(中空平栓) |
ケルダール | = | キルダール |
シャーレ | = | ペトリ皿 |
アスピレーター(水流ポンプ) | = | サッカー |
梨形フラスコ | = | ヘルツ型フラスコ |
リップ付試験管 | = | リム付試験管 |
遠心沈殿管 | = | 遠沈管、沈殿管 |
洗浄びん | = | 洗気びん |
バイエルびん | = | バイアルびん |
ねじ口びん | = | メジュームびん |
二口(三口・四口)フラスコ | = | 二頭(三頭・四頭)フラスコ |
吸引びん(ろ過びん) | = | ろ過フラスコ |
二重管冷却器 | = | バリテール型冷却器 |
はさみ | = | クランプ |
撹拌子 | = | スピンバー |
共通すり合わせ※ ※当社はJIS R3503と同じ標記です。 |
= | 共通摺合わせ |
専門用語
冷まし(さまし)
「徐冷」あるいは「徐冷炉」のこと。
高熱で加工されたガラスには、必ず”歪(ひずみ)”が残りますが、この歪を取り除かないと数日後に割れてしまいます。歪をとるために、徐冷炉(電気炉またはガス炉)に入れ、徐々に温度をかけ、最高560℃で約15分程度加熱し、再び徐々に温度を下げて歪をとります。
ガラスがハネる
ガラスに歪が残っていると、歪が原因で割れます。そのことを、「ガラスがハネた」と言います。
アワ(泡)
ガラスの面に気泡が入っていることを「アワ」があると言います。
これは製造工程(溶融炉から取り出すとき)に入ることがありますが、当社の品質検査(受入れ検査の合否)で、大きさや数が決められています。
ツブ(粒)
気泡と同じようにガラスの面に、小さな(砂みたいな)凸が入ることがあります。
これを「ツブ」と言ったり、少し大きい場合は「ストーン」などと言います。
ガラスの溶融時に溶解しなかった原料が付いたためです。
これも社内の品質検査(受入れ検査の合否)で基準が設けてあります。
仕上げ
ガラスの加工では製品を作っていく順序(工程)があります。
共通すり合わせの製品で、例えば冷却器の場合は最後に”すり合わせ”工程となります。これを「仕上げ」と言ったり「仕上げ工程」などと言っています。
ただしSPC製品のジョイントは別個に製作しており、最後に完成しているSPCジョイントをつなぎます。
この時SPCジョイントに火がかかって変形しないように、(共通すり合わせ製品より)少し長めにつないであります。
薄物と厚物
ビーカーや試験管、丸底・三角フラスコ(すり合わせのないもの)類を、「薄物」と呼ぶことがあります。
これらのガラス容器は「熱しやすく・冷めやすい」のが良いとされ、下記2点の特徴があります。
①熱しやすい:熱の伝わり方が早い
②冷めやすい:放熱が早い
びん類やデシケーター(俗称:厚物)などに比べて肉が薄いことも、その呼称の要因となっています。
加えてジョイントがついていない冷却器なども「薄物」と呼びます。
SPC透明ジョイントについて
SPCとはSIBATA Precise Clear Jointの略称です。SPCジョイントは平滑性に富み、真空グリースを用いないで接続できる透明テーパージョイントです。素材はほうけい酸ガラス-1を用いて、特殊加工により製作した、肉厚で、表面の仕上がりが滑らかなジョイントです。ノングリースで使用しても、気密性に優れ、しかもセメント化が少ないのが特徴です。従来のすり合わせに比べ、グリースによる汚染の心配がなく、食品・薬品・放射線化学・高純度物質の精製分留など広範囲な実験装置の組立てにご使用いただけます。
|
共通すり合わせについて
“共通すり合わせ”とは、接続部が一定の規格寸法にすってあり、実験用ガラ ス装置の組立てや、組替作業をする場合に、同一記号のすり合わせであればすべて互換性を持っているすり合わせのことをいいます。当社の共通テーパーすり合 わせは、日本工業規格(JIS)にしたがって製作しています。JISは米国規格(NBS)およびISO規格の一部と合致しており、互換性を持っています。 ■テーパーと、角度5°43′ 30”の関係(JIS R 3503-1994年から抜粋) |
|
■共通テーパーすり合わせについて 記号、寸法および呼び方 ・共通テーパーすり合わせの記号はとします。 ・寸法の表し方は、たとえば24/40の場合、24はすり合わせ部の大径を、40はすり合わせ部の長さを表します。 ・呼び方はTS(ティ・エス)24の40と呼びます。なお、分子(大径)と分母(長さ)の順序を取り違えて呼ぶとトラブルの原因になるので十分注意してください。 |
当社の理化学用ガラス製品は化学的特性、耐熱性、透明性に優れた材質で製作していますが、反面機械的衝撃にはもろく壊れやすい性質があります。これらの取り扱いには十分注意しながら、切傷、火傷をなさらぬようお願いします。 なお化学実験においてガラス器具をはじめ科学機器類を使用する場合は、必ず保護具(ゴーグル、プロテクター、手袋など)を用いてください。 また、中でも意外と多いのが大きいビーカーなどを持ち運ぶ時の破損事故です。 特に中身の入ったビーカーを持つときは、下図のように側部(B)や底部から支えるよう(C)にして慎重に持ってください。 ビーカーのふちの部分(A)をつかんで持ちあげたり、振ったりすると破損します。 破損により内容液に触れて火傷したり、破断面で切傷を受けたりする恐れがありますので、ご注意ください。 |
||||||
|
加熱する場合 |
●弱熱より徐々に加熱してください。直火で使用される場合も同じですが、局部加熱は避けてください。 均一加熱を行うためには、セラミック金網等を使用してください。 ●沸点の低い物質や引火性物質を加熱する場合は、直火や電熱器の使用を避け、湯煎器(ウォーターバスやオイルバスなど)を使用してください。湯煎器の使用においても、安全には十分配慮してください。 ●加熱終了後、床や台の上に置く場合は安全面に配慮してください。濡れた布の上や冷たい物の中に入れる場合は、急激な温度変化によるショック(サーマルショック)で破損することがありますので十分注意してください。 ●加熱した容器をつかむ場合は、火傷防止のため必ず耐熱手袋や専用ハサミ(トング)などの器具を使用してください。 ●加熱中に容器を上から覗くのは避けてください。内容物が急にふき出す可能性があり大変危険です。 |
||||||||||||||
減圧で使用する場合 |
●一般的に減圧用のガラス器具は、厚みのある製品で、減圧用デシケーター、吸引フラスコ、ろ過器等です。 化学反応試験や減圧蒸留試験には、丸底フラスコ、なす形フラスコ、梨形フラスコ、ケルダールフラスコなどが用いられますが、使用する前には必ず「キズ」「歪み」「偏肉」などが無いことを確認してから使用してください。 ●平底フラスコや三角スラスコなど底が平らな物は、構造上の強度が弱いので危険です。減圧はしないでください。 ●ロータリーエバポレーターを使用される場合には、プロテクトシールド(ガード保護具)をお薦めします。 |
||||||||||||||
加圧で使用する場合 |
●ほとんどの理化学用ガラスは、加圧で使用することはできません。 ●あえて使用する場合は、「キズ」「歪み」「偏肉」などが絶対に無く「形状」を考慮の上、微圧に限ります。 (但し、実施条件に張力、その他物理的条件を加味し余裕のある限界を確認してから使用してください。 また、万一に供えて被害を防ぐため、必ず防護スクリーンなどの安全対策を施してから、使用してください。) |
||||||||||||||
滅菌する場合 (オートクレーブ使用の場合) |
●ガラス器具に「キズ」「歪み」「偏肉」などがないことを確認してください。 ●キャップは「外す」か、「一回転以上ゆるめて」ください。2000mL以上の場合はキャップを「外して」ください。 ●オートクレーブの金属面にガラスが直接触れないようにしてください。 ●取り出す際は常温に戻してから出してください。急激に温度を下げる(強制冷却)ことは避けてください。 ●できるだけほうけい酸ガラス-1(DURAN®、PYREX7740)で製作されたガラス製品をお薦めします。 |
||||||||||||||
洗浄する場合 |
●新しく購入されたガラス器具は、必ず洗浄してから使用してください。 ●実験に使用したガラス器具は、一般の洗浄程度では残留物が付着している場合があります。 特にテーパージョイントの部分には付着する場合があり、次の分析に支障をきたすことがあります。 その場合は、希硝酸液を用いて、超音波洗浄器等で洗浄してください。 ●超音波洗浄器を用いて洗浄される場合 ①ガラスに「キズ」や「ヒビ割れ」があるものを超音波洗浄器にかけると破損します。 ②超音波洗浄器によっては、洗浄槽に直接入れないで“洗浄用かご”や“間接容器(ビーカー)”にて、使用しなければ ならない物がありますのでご注意ください。 ③洗浄液は使用頻度に応じて適時交換してください。「キズ」や「汚れ」の原因になります。 ●洗浄液および付着物は、直接捨てられないものもありますので、廃水には十分ご注意ください。 ●洗浄剤を使用した場合は、「ゆすぎ」を十分に行ってください。その後は器具乾燥器などで乾燥後保管してください。 特に計量用ガラス器具は風乾、ピペット類はアスピレーターなどで減圧乾燥してください。 ●洗浄には中性洗剤をご使用ください。アルカリ洗剤はガラスの性質上、悪影響をおよぼします。(詳細は洗浄剤についてを参照) ●洗浄剤はその目的に応じたものを使用してください。臨床分野では殺菌剤入りのものもあります。 ●ガラスコックやガラス栓には必ず合紙をはさんで保管してください。 ●金属たわし・研磨剤入りスポンジ・クレンザーは使わないでください。ガラスの表面に傷をつけ器具の寿命を短くします。 ●ひと通りの洗浄が終わったら最後に純水(イオン交換水、蒸留水、精製水)で仕上げの洗浄をしてください。 |
||||||||||||||
乾燥する場合 |
洗浄後のガラス器具は、原則として乾燥枠・棚で自然乾燥させましょう。 ●急ぐ場合は電気定温乾燥器の中に入れることもありますが、この場合 乾燥器中の温度は30~40℃くらいで行い、ガラス器具はできるだけ上部の棚におく ようにします。ただし、すでに乾燥中のものに加えて新しく洗浄した器具を入れるときは、雫が落ちるのでその下の棚に置きます。 ※原則:本来は水切り後に乾燥器に入れましょう。 ●高温にセットした乾燥器中にむやみに器具を入れると、乾燥中に破損することもあるので注意してください。 ●ヘヤドライヤーを使用してもよいですが、ジェットヒーター(強力なヘヤドライヤー)は使用しないでください。 ●細い器具や曲がった細管の内部を手早く乾燥したい場合は、洗びんに入れたアルコールを細い管に通したあとアスピレーターで吸引して乾燥させてください。 注意:水の逆流で思わぬ失敗をすることがあるので、必ずバッファータンクをつけて使用してください。また火気は厳禁です。 |
||||||||||||||
洗浄剤について |
ガラスは一般的に酸に強くアルカリに弱い性質があります。強アルカリの洗浄剤を使用すると表面が白濁したり白色マークが剥がれ落ちる可能性があります。 一般的な洗浄剤として中性を用いることをお勧めします。また使用温度は洗浄剤に合せてた適温でご使用ください。 おおむね50℃前後がよいとしてあります。
|
||||||||||||||
有機溶剤を使用する場合 |
有機溶剤を使用される場合は、必ず適切な排気装置が付いた部屋でご使用ください。 | ||||||||||||||
すり合わせガラス器具を使用する場合 |
●テーパージョイントは、ガラス表面を研磨していますので、強度としては弱くなっています。強い衝撃を与えないでください。 ●すり合わせガラス器具を何個かつないで使用する場合は、テーパージョイント用クランプをすり合わせ部にセットしてください。 ●すり合わせ部分が合わない場合は、径違いアダプターを使用してください。 ●すり合わせ器具やガラスコック、ガラス栓などは、すり合わせ部分が固着しはずれにくくなる場合があります。 これを取り外す時は次の処理をおこなってください。 ①熱湯に浸し内側のガラスが熱くならないうちに、適度な力で引っ張り加減で回してください。または、木槌で軽くたたいてください。 ②溶液を使用される時は、浸透性の強い界面活性剤の薄い水溶液を、すり合わせ部分の縁にかけてから暫く待ち、布等をあててつかみ、適度な力で回しながら引っぱり加減で外してください。 |
||||||||||||||
ねじ口びんを使用する場合 |
当社が販売するDURAN GROUP社のDURAN®ガラスの「ねじ口びん」は、数多くの分野において汎用的にご使用いただいており、それだけ使い方も多種にわたっています。 この「ねじ口びん」をさらに有効にご使用いただくため以下のことにご注意ください。 ◇使用上の注意(共通事項) ・ねじ口びんは、JIS R3503でいう材質は「ほうけい酸ガラス-1」で、化学的特性などに優れていますがガラス製品であることを十分ご理解の上、お使いください。 ・液体は満杯に入れないでください。圧力により少しの衝撃でびんが割れる可能性があります。 |
||||||||||||||
洗浄する場合 (ねじ口びん) |
ねじ口びんは、強アルカリ、研磨剤入りの洗剤での洗浄は避けてください。表面を白濁させる原因となります。 ガラスの洗浄に適した洗浄剤 シバタクリーンAの使用をお勧めします。 |
||||||||||||||
凍結する場合 (ねじ口びん) |
内容物の膨張による破損を防ぐために、液体を満杯に入れず4分の3までにしてください。また液体の表面積をできるだけ広げるため、斜めか横に倒して凍結してください。 | ||||||||||||||
加熱する場合 (ねじ口びん) |
内容物の膨張や、圧力上昇によるびんの破損を防ぐため、キャップは外してください。 また弱熱から徐々に加熱してください。加熱したガラスを温度差の大きい物体の上に置く場合は、サーマルショック(急激な温度差によるガラスの耐熱許容範囲)以内であるよう十分に注意してください。 通常のねじ口びんのサーマルショックはΔ100℃です。またプレミアムボトルはΔ160℃です。 |
||||||||||||||
運搬する場合 (ねじ口びん) |
5000mL以上の場合は、内容物の重さで底が抜ける場合があります。 びんは、ねじ口を持たず底を支えるように運んでください。 |
||||||||||||||
減圧する場合 (ねじ口びん) |
本来減圧で使用する製品ではありませんがやむを得ず減圧で使用する場合は、「キズ」「歪み」「偏肉」などがないことを確認してゆっくり減圧してください。 | ||||||||||||||
加圧する場合 (ねじ口びん) |
加圧で使用することはできません。 ただし、HPLCねじ口びんは-100kPa~150kPaまでの耐圧性があります。事前に「キズ」「カケ」のないことを確認し、ご使用ください。 |
||||||||||||||
滅菌する場合 (ねじ口びん) |
オートクレーブ使用の場合 ●ガラス器具に「キズ」「歪み」「偏肉」などがないことを確認してください。 ●キャップは「外す」か、「一回転以上ゆるめて」ください。2000mL以上の場合はキャップを「外して」ください。 ●オートクレーブの金属面に直接触れないようにしてください。 ●取り出す際は、常温に戻してから取り出してください。急激に温度を下げることは避けてください。 ●メンブランキャップを使用の場合は、メンブランフィルターにより気体が通過しますので、しっかり締めたままご利用できます。 事前にキャップを緩めたり、オートクレーブの後に締め直す必要はありません。 |
||||||||||||||
乾熱滅菌の場合 (ねじ口びん) |
●びん自体は耐熱性が500℃までありますので乾熱滅菌にかけられます。 ●キャップ・部品類は素材により耐熱性が異なりますのでお問い合わせください。 ●セーフティコートねじ口びんは乾熱滅菌にはかけられません。 |
||||||||||||||
高真空グリースレスバルブを使用する場合 |
グリースレスバルブは耐薬品性に優れ、高度のガラス加工技術によって製作された高精度なバルブとして、研究開発及び製造の分野でご好評を頂いています。グリースレスバルブは、主にほうけい酸ガラスを用いて製作されます。ほうけい酸ガラスは耐蝕性、及び耐熱性にすぐれ、無色透明で内部の状態を目視で確認することができます。 また、硬い性質を持っており、圧縮に対しては非常に大きい抵抗力を示しますが、まれにバルブの締め過ぎなどにより、破損するケースがあります。 正しく安全に、かつトラブルを未然に防ぐため、以下の点にご注意下さい。1. 使用前に点検し、ガラス部にキズ・カケの有る物は使用しないで下さい。 2. 製品の使用目的に沿った方法でご使用下さい。 3. 製品を落としたり、衝撃や曲げの力を与えないで下さい。 4. 局部に力や熱を加えないで下さい。 5. ガラスの破損によって、内容液を浴びて火傷をしたり、ガラス片・破断面により負傷されぬよう、対策をお取り下さい。 6. バルブを締めすぎないで下さい。まれにガラスが破損する可能性があります。 7. Oリングにキズがある場合、膨張が見受けられた場合は、Oリング(芯棒セット)を交換してください。 8. Oリングがめくれている(Oリング溝からはみ出ている)場合は、無理にバルブを動かさず、メンテナンスに出してください。バルブを締めすぎると、まれにガラスが破損する可能性があります。以下のイラストを参考にして締めすぎない様、ご注意ください。
|
||||||||||||||
ガラス製品の寸法について |
本サイトに記載されているガラス製品の寸法は、実際には±の許容範囲内で製作していますので、目安としてご利用ください。 | ||||||||||||||
その他の取り扱い注意 |
●クランプを使用してガラスを固定する場合は、ガラスと金属が直接触れないよう注意してください。また過度の締め付けにも注意してください。 ●内容物が液体から固体、固体から液体などの変化をする場合、体積の変化により圧力が上昇してガラスが破損する場合があります。 用途に十分注意し、それぞれの状況にあった使用をしてください。 ●ゴム管やゴム栓の取り付け、またはずす際はかならずタオルや手袋などで手を保護してください。また無理に力を加えず、取り付ける際は、ゴム管の内部を水などでぬらし滑りやすく、はずす際はナイフを用いて切り取ってください。 |
||||||||||||||
|