水分活性測定装置
水分活性とは何ですか?
- 水分活性(AW:Water Activity)とは、食品等に含まれる水分量のうち自由水の割合を示す尺度で、0~1の数字で表されます。水分のないサンプルは0、純水は1となります。食塩や糖分などの含有により変化し、1に近いほど微生物が増殖しやすいといえます。水分活性は食品の保存性だけではなく食感などにも影響を与えますので、食品ごとに適切な水分活性を決定し、微生物の増殖リスクを把握したうえで適切な処置・対策を行うことが重要です。
水分活性の測定原理を教えてください。
- あるサンプルを容器に密閉した場合、サンプル中の水分はその容器内の空間(空気中)の相対湿度に応じて蒸発・吸湿を行い、やがて平衡状態に達します。平衡状態の時、容器内の相対湿度がそのサンプルの水分活性となります。
- 静電容量式とは何ですか?
- 水分活性測定装置は主に「静電容量式」「電気抵抗式」「露点式」の3つの原理があり、すべてISO 18787:2017に準拠しています。AW-1、AW-Multiでは3つのうち「静電容量式」を採用しています。
- 「静電容量式」では、感湿膜が水分を吸脱湿することにより静電容量(電気をどれだけ貯めることができるか)が増減します。この静電容量の変化を測定することで湿度を検知します。
静電容量式は食品衛生法には準拠していますか?
- 食品衛生法では電気抵抗式のみが認められているため、静電容量式は準拠しておりません。静電容量式は以下のようなメリット・デメリットがありますので、使用用途やサンプルに合わせてお選びください。
- 【メリット】
● 低水分活性領域も問題なく測定できる
● 応答性が良い
● 小型・軽量
● 低価格 - 【デメリット】
● 食品衛生法に準拠していない
● アルコール耐性が低い
静電容量式ではアルコールを含むサンプルの測定はできないのでしょうか?
- サンプルに含まれるアルコール分が~3%程度の場合は問題なく連続測定が可能です。それ以上の濃度の場合、数回の連続測定は可能ですが、徐々にアルコールの影響を受けてしまいます。ただしセンサーが故障するということはございません。弊社のAWシリーズはセンサー付試料容器が本体分離式となっていますので、複数のセンサー付試料容器を用意し、付属のB型シリカゲルで養生(放置)しながら交互に使用することで連続測定が可能です。
粉末状や液体状のサンプルも測定できますか?
- 測定できます。
スタビリティーモードとクイックモードの違いはなんですか?
- AW-1とAW-Multiには2つの測定モードが搭載されています。スタビリティーモードとは基本のモードです。測定値が安定するまで測定を続け、測定値が設定の範囲内で安定したと判断した時に測定が終了します。クイックモードは短時間測定モードです。測定開始後5分で測定を強制的に終了します。
水分活性の高いサンプルを測定した後、他のサンプルを測定したところ、通常より高めの数値になったのですが、どうすればいいですか?
- 連続測定などにより1.00aw付近の高水分活性のサンプルを長時間ばく露すると、次回の測定に影響を与える可能性があります。水分活性の高いサンプルを測定した後は、速やかにセンサーから試料容器を外してください。また、センサー付試料容器に付属のB型シリカゲルを入れて10分以上放置させることを推奨します。
どの程度の頻度で校正すべきですか?
- センサーは消耗品であり、経年・使用・環境等により必ず劣化していきます。そのため、季節の変わり目や測定環境の温湿度が大きく変化した場合、飽和塩を用いて精度確認を行ってください。目安として、飽和塩の基準値より±0.02aw以上の差が見られた場合は校正することをおすすめします。
試料容器、センサー付試料容器のお手入れ方法を教えてください。
- 試料容器は食器用洗剤等で洗っていただいて構いません。センサー部分付近はふき取る程度にしていただき、センサー保護フィルターが汚れた場合は随時交換してください。