マスクフィッティングテスター MT-11D/05U/05/03型
労研式マスクフィッティングテスターとは何を目的とした装置ですか?
-
防じんマスクを装着した方のそのマスクが、顔面にしっかり密着しているかどうかを、マスクを装着したご自身が確認し、密着できていない場合は装着しなおしてしっかり密着させていただくことを目的とした装置です。
全面形マスク、半面形マスク、簡易マスク等を装着した時のマスクと顔面との密着性を測定し、その結果を漏れ率(フィット率)として数値化できます。
どのようにして漏れ率を求めているのですか?
-
漏れ率は、マスク外側と内側の空気中の粉じん粒子数をそれぞれ計数し、その比から算出します。
測定の内訳としては、はじめに「マスクの外側」の粉じん粒子数を計数し、その後「マスクの内側」の粉じん粒子数を計数します。漏れ率(%) = ( Ni / No ) × 100
Ni :マスク内の粒子数
No:マスク外の粒子数
測定時間を変更するにはどうすれば良いですか?
-
「測定環境中の粉じん数が著しく少ない場合、測定時間を長くすることで粉じん数を多く確保することができます。
■MT-05U/MT-05型の場合
各モードの設定画面にて「測定時間」(トレーニングモードは「外側測定時間」)を変更します。
※フィットテストモードに関しては、測定時間は変更せず、粒子発生器及び塩タブレットのご利用をお勧めします。■MT-03型の場合
MENUボタンを押してMENU画面に移動し、「Meas.T」に設定されている秒数を変更します。※マスクフィッティングテスターの測定の内訳
MT-05/05U型のフィットチェックモードやMT-03型では次の流れで測定を行っています(ほかの測定モードも基本的に同じ流れです)。
「外側チューブ・測定器内の空気の入れ替え(10秒)」→「外側測定(3秒)」→「マスク側チューブ・測定器内の空気の入れ替え(10秒)」→「マスク内測定(3秒)」なお、設定画面内の「測定時間」(MT-05U/05型)や「Meas.T」(MT-03型)では、「外側測定」と「内側測定」のそれぞれの測定時間を設定できます。
漏れ率の測定は粉じんを装置内部に吸引しますが、測定を始める際に、装置内部(粉じんの流路)に前回の粉じんが残っていないことを確認する方法はありますか?
-
以下の方法で装置内部(チューブ内部、検出器内部)に粉じん粒子が残っていないことを確認できます。
漏れ率測定を始める前や、一日の測定の終了時、測定器に異常を感じたとき、粉じん粒子濃度が明らかに高い場所で漏れ率測定を行った後などにこの確認を行うと有効です。★マスク内側測定時の流路の確認(INSIDE)
①付属のゼロチェック用の高性能フィルタをMASK側(INSIDE側)の入口に直接取り付けます。
②OUTSIDE側の入口を開放にします。
③(MT-05/05Uはフィットチェックモードに入って)測定開始ボタンを押し、測定を開始します。
④測定終了後、画面上の「count 2」の数値が0、もしくは、漏れ率の測定結果が0.2%以下であれば、マスク内側測定時の流路(INSIDE)はクリーンな状態です。※上記の操作を数回行っても改善が見られない場合、点検にお出しいただくことをお勧めします。
測定を行う前に注意することはありますか?
-
以下のことに注意してください。
・マスクと顔面との間に髪が挟まりこんでないか
・男性の場合はひげが伸びてマスクと顔面との間に隙間が生じていないか
・喫煙者の場合は、喫煙の程度にも寄りますが、漏れ率測定前1時間は喫煙を控えてください。※喫煙による影響
喫煙者の場合、喫煙直後に漏れ率を測定すると、マスク内側の粉じん数にタバコ粉じんの粒子数が加算されることがあり、誤った結果が得られる場合があります。
測定中にチューブの内側が結露してきた場合どうすれば良いですか?
-
チューブ内に外気を通気させることで結露を徐々に除去することができます。
以下の方法で結露の除去を行ってください。
なお、結露がひどい場合には乾燥したチューブに交換することをお勧めします。■結露の除去方法(MT-05U型の場合)
①測定が終了したらすぐにマスクから試験ガイドを抜いてください。
(チューブジョイントセットの場合はマスクからチューブを取り外すか、マスク自体を顔から外してください)。
②オートドライヤー機能により測定終了後もMASK側チューブの吸引が続き、チューブ内に外気を通気させます(初期設定では180秒間作動)。
※オートドライヤー機能のほか、ポンプ動作設定を「測定モード中」又は「常時」に変更することでMASK側チューブの吸引を連続的に行うことも可能です。■結露の除去方法(MT-05/MT-03型の場合)
①測定が終了したらすぐにマスクから試験ガイドを抜いてください。
(チューブジョイントセットの場合はマスクからチューブを取り外すか、マスク自体を顔から外してください)。
②測定の合間にドライヤーポケットに試験ガイドを差し込むことでマスク側(INSIDE側)の吸引を行い、チューブ内に外気を通気させます。 (下記画像参照)※チューブ内部の結露について
測定を繰り返していると呼気によってチューブの内側が結露してきます。結露がひどくなるとチューブ内の流路が狭まるなど測定に影響が生じてきます。上記の方法により対策をとってください。
【MT-03型】画面の表示が薄くて(もしくは濃すぎて)見づらい場合の対処法はありますか?
-
装置前面の画面下左側に「CONTRAST」という小さなボタンで画面表示の濃淡の調整が行えます。
このボタンを押し続けると画面の明るさ調整ができます。
【MT-03型】測定画面の「Temp.」は何を意味していますか?
-
装置内部にあるヒーターの現在温度を示しています。装置の周辺温度ではありません。
※「Temp.」の表示が設定値と明らかに異なる場合
例)40.0℃に設定したはずが1.5℃と表示する。
→接触不良の可能性があります。電源のON/OFFを数回繰り返しても復旧しない場合は故障が疑われます。修理をご依頼ください。
【MT-03型】フィットファクタを算出することはできますか?
-
MT-03型でフィットファクタを算出する場合、次の計算式により算出することができます。
フィットファクタ = 100 / 漏れ率
(例)漏れ率 1.00%の場合
フィットファクタ = 100 / 1.00 = 100また、フィットテストのように複数動作の漏れ率から平均フィットファクタを算出する場合は計算方法に注意が必要です。
■MT-03型によるフィットテストの測定結果の例
動作No. count 1
(マスク外側)count2
(マスク内側)
漏れ率 1 30,000 40 0.13% 2 30,000 45 0.15% 3 30,000 50 0.17% 4 30,000 55 0.18% 5 30,000 60 0.20% 6 30,000 60 0.20% 7 30,000 50 0.17% ※Count 2が「0」の場合は「1」として計算してください。 ■平均フィットファクタの計算方法
(1)正しい計算方法
・動作ごとの漏れ率を足し合わせたものを動作数で割って平均漏れ率を算出し、100÷平均漏れ率を計算する。
平均漏れ率=(0.13+0.15+0.17+0.18+0.20+0.20+0.17)/7=0.17
平均フィットファクタ=100/0.17=583 ←正しい結果○(2)誤った計算方法
・動作ごとにフィットファクタを算出し、それらの平均をとる。
上記のMT-03型の測定結果からそれぞれのフィットファクタを計算すると、
動作1:750, 動作2:667, 動作3:600, 動作4:545,
動作5:500, 動作6:500, 動作7:600
となります。これらの平均値をとると誤った結果となります。
(750+667+600+545+500+500+600)/7=595 ←誤った結果×
【MT-03型】フィットテストを行うにはどうすれば良いですか?
-
添付資料を参考にしてください。
粒子発生器及び塩タブレットはどのようなときに必要になりますか?
-
測定環境中の粉じん粒子数が少ない場合に使用します。フィットテストを行う場合は使用を推奨します。米国の方法(OSHAプロトコル)にならってフィットテストを行う場合は粒子発生器及び塩タブレットが必要になります。
何回測定を行っても漏れ率が大きいのですがどのような理由が考えられますか?(マスクに原因がある場合)
-
以下の理由が考えられます。
①装着方法が誤っている
マスクに取扱説明書がついている場合は、その内容どおりに装着できているかもう一度確認してください。取扱説明書がなかったり、何度やってもうまくいかない場合はそのマスクの製造元に装着方法等をお問合せください。
②マスクの大きさや形状が顔面に合っていない
目的に合ったマスクの中で、ほかの種類のマスクをお試しください。
③マスクの生地が傷んでいたり形状が崩れている
マスクと顔面との隙間以外のところに漏れの原因箇所ができている可能性があります。正常な状態のマスクを使用して再度漏れ率測定を行ってください。
④マスク自体が漏れ率測定に適していない
以下のマスクは漏れ率測定を行っても高い数値が出やすいです。
・一般的に使用されているサージカルマスク
・防じん機能を有していない防毒マスク
何回測定を行っても漏れ率が大きいのですがどのような理由が考えられますか?(マスク以外に原因がある場合)
-
以下の理由が考えられます。
①本体へのチューブの取り付けが間違っている
MASK側(INSIDE側)とOUTSIDE側のチューブの取り付けが逆になっていないかチェックしてください。
②試験ガイドから漏れている
試験ガイドが破れていたり穴が空いたりしていないかかチェックしてください。
③測定環境中の粉じん粒子数が極端に少ない
粉じん粒子数が極端に少ないとマスク内に少しでも粉じんが侵入すると、途端に漏れ率が大きくなってしまいます。
粒子発生器及び塩タブレットを使用して測定環境中の粉じんを増やすか、粉じん粒子数の多い部屋に移動する、または測定時間を長くして粉じん粒子数を確保してください。
・フィットチェックの推奨粒子数:1,000カウント以上@0.3μm以上
・フィットテストの推奨粒子数:10秒あたり3,000カウント以上@0.3μm以上、または300カウント以上@0.5μm以上
④チューブに問題がある
チューブのどこかが裂けていないかどうか確認してください。異常があれば正常なチューブに交換してください。
⑤本体に問題がある
・付属のゼロチェック用の高性能フィルタをMASK側(INSIDE側)の入口に直接取り付けます。
・OUTSIDE側の入口を開放にします。
・(MT-05U/05はフィットチェックモードに入って)測定開始ボタンを押し、測定を開始します。
・測定終了後、画面上のマスク側(MT-03型はcount 2)の数値が0、もしくは、漏れ率の測定結果が0.2%以下であれば正常です。
・何度行っても漏れ率が0.2%を超える場合は故障が疑われます。
本体から異音がするのですが故障でしょうか?
-
内部ポンプに高負荷がかかることによって生じる異音の原因としては以下のことが考えれらます。
なお、劣化により内部ポンプの音が大きくなっている場合もあります。
①本体側面にある流量計の流量が0になっている
内部ポンプの排気が遮られている状態です。
流量計についている黒いつまみを反時計回りにまわし、1L/minに合わせてください。つまみをいくらまわしても流量が上がらない場合は内部ポンプの故障が疑われます。
②ゼロチェック用高性能フィルターの青色キャップを外していない
ゼロチェック用高性能フィルターには青色のキャップが取り付けられています。
測定時は必ずこのキャップを外してください。内部ポンプの破損に繋がります。
③試験ガイドの目詰まり
試験ガイドが目詰まりを起こし、流路を塞いでいる可能性があります。
チューブから試験ガイドを取り外し、異音が解消されるかどうか(流量が戻るかどうか)チェックしてください。
④内部配管の折れや潰れ
内部配管が折れている場合、内部ポンプに高負荷がかかる可能性があります。
内部ポンプの劣化でもなく、上記①~③も正常な場合、内部配管が折れたり潰れたりしている可能性があります。
※MT-05/MT-03型ユーザーがMT-05U型を使用する場合
MT-05U型は測定が終了してもそのまま内部ポンプを動かし続ける機能(オートドライヤー機能またはポンプ動作設定機能)が備わっています。この機能によるものでないか念のためご確認ください。
MT-05U型で、最少粒子数アラートが何度もでてしまうが故障なのか?
-
空気中の粒子数が少ない場所では、アラートが発生してしまいます。粒子発生器を使用して粒子数を一次的に増加させるか、粒子数の多い部屋に移動して検査を行ってください。応急措置としては、【最小粒子数アラート】の設定を一次的にOFFにすることも可能です。
マスクフィッティングテスター MT-11Dは、高純度アルコール(IPA)が必要ですが、用意できていない場合は?
-
マスクフィッティングテスター MT-11D型は、凝縮液としてイソプロピルアルコール(IPA)が必要ですが、エタノールを使用した場合と比較したところ、MT-11D型の凝縮液としてエタノール(99.5%以上)を使用してもIPA(99.5%以上)使用時と同等の合否判定結果が得られることを確認しました。
→ エタノール検証結果