粘度計
粘度計とは?
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粘度計は「JIS Z 8803液体の粘度-測定方法」により毛細管粘度計、落球粘度計、回転粘度計(3種類)に分類されます。当社で製造している粘度計は毛細管粘度計です。
毛細管粘度計の特徴は、“比較的よい精度で粘度を測定することができる”、“試料の密度を測定せずに直接動粘度が求められる”、“試料が比較的少量でよい”、といった点があります。
測定原理は、一定量の液体が一定温度において、毛細管内を重力方向に自然落下するのに要する時間を計測して計算式により求めます。※毛細管粘度計はニュートン液体測定用であり、非ニュートン液体の測定には適しません。
ニュートン液体:ずり速度(せん断速度)がずり応力(せん断応力)に比例する液体。
非ニュートン液体には、高分子溶液、コロイドやエマルジョンなどがあり、グリース、マヨネーズ、トマトケチャップなどがあります。
選定方法は?
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1. 初めに対象試料に関する規格(例えばJISなど)、試験方法が決まっているかどうかを確認してください。試験方法により形状・寸法が決まっている場合があります。
※当社の粘度計は「JIS K2283原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」や「JIS Z8803液体の粘度-測定方法」の粘度測定法に基づき製作しています。2. 粘度計の型式を決めます。「キャノン・フェンスケ」、「ウベローデ」、「キャノン・フェンスケ(不透明液用)逆流形」は直接動粘度を求めることができます。「オストワルド」は標準となる液との相関を求めるための相対粘度計です。
使い分けとしては、一般的なのはキャノン・フェンスケ、精度を求めるならウベローデ、不透明な液ならキャノン・フェンスケ(不透明液用)逆流形です。3. 試料の動粘度に応じた測定範囲から選んでください。
例)キャノン・フェンスケ、30mm2/sの場合 026110-0035か01種類 キャノン・フェンスケ ウベローデ キャノン・フェンスケ
逆流オストワルド 試料の量 約4.5~5.5mL 約12~16mL 約12mL 約5~8mL 用途 一般 高精度 不透明液用 相対粘度計 粘度計定数 あり あり あり なし ※価格は2021/10/1現在、すべて税抜です。別途消費税が加算されます。
キャノン・フェンスケ 比較的少量の試料の測定に適します。 ウベローデ 側管から空気が入り、毛細管から流れ落ちる試料が切れた状態で測定します。
試料のはかり採り量のばらつきや、はかり採り時と測定時の温度の違いによる液柱差のばらつきによる誤差が生じません。キャノン・フェンスケ逆流 測時球が下のほうに設けられ、試料が球内に流入する時間を測定します。
乾燥している球内へ流入するので、不透明な(他の粘度計では標線を読取り難い)液体の測定に適します。
1回の試料はかり採りで2個の測定値が得られます。※測時球が濡れた状態では正確に測定することができません。再度測定する場合は、必ず洗浄・乾燥してから行ってください。
オストワルド 粘度計定数は付いていません。
基準となる液体との比較測定に用います。
校正方法は?
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校正用標準液を用います。「JISZ8809粘度計校正用標準液」により標準液とその動粘度が規定されています。
標準液を用意すれば、お客様自身で校正することもできます。もちろん当社で校正することも可能です(有料)。当社で校正する場合は、定数を記載した検査表を作成し直します。
粘度計定数はどの様にして決められていますか?
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粘度計校正用標準液を用い恒温水槽内で落下秒数を測り、この時間で標準液の(測定温度での)動粘度を除した数値を粘度計定数とします。
例)温度:40℃、落下秒数:500.0秒、標準液の動粘度:10(40℃の時) の場合
粘度計定数=動粘度/落下秒数=10/500.0=0.020
粘度計定数を指定して購入することはできますか?
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できません。毛細管内径のバラツキにより、同じ品目コードでも1本ごとに定数の違いが生じます。また、加工後に落下秒数を実測して定数を決めますので、あらかじめ定数を決めて製作することはできません。
測定時の注意点
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一定量の液体が一定温度において、毛細管内を重力方向に自然落下するのに要する時間を計測しますので、試料の量を常に一定にすること(ウベローデ以外)、専用恒温水槽を使用すること、恒温水槽への取付の垂直を確認すること、が必要です。また、毛細管内に汚れが残らないよう、洗浄と乾燥に注意してください。
ウベローデ026130-003を使用したところ80秒となった。このまま使用しても良いでしょうか
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026130-003(粘度計定数:概略値0.03)で80秒なので、動粘度は2.4となります。このあたりの動粘度を測るのであれば、026130-0005(1~5cSt)あたり ということになります。200秒未満であっても、まったく使えないと言うことではありません。どこまで精度を求めるか、ということになります。目安程度であれば026130-003でも良いかも知れません。
※JIS K2283では、落下秒数が200~1000秒になるものを選ぶことになっています。時間が短過ぎるとな乱流となり誤差が大きくなります。
試験温度100℃で測定したい。キャノン・フェンスケの場合、校正温度と試験温度が異なる場合は試験温度で校正しなおさなければいけないとJIS K2283に記載あり。JISの標準液には100℃のものは無く、どのように測定すれば良いかわからない。
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キャノン・フェンスケやキャノン・フェンスケ逆流で校正温度と試験温度が異なる場合、試料の熱膨張により液柱差が生じ流出時間に誤差を生じます。精度良く測定するのであれば校正しなおす必要の無いウベローデをお勧めします。
キャノン・フェンスケ逆流を使用して。1回目と2回目の値が違いすぎる。
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キャノン・フェンスケ逆流の場合、測時球が濡れたままでは正確に測定できません。1回目の測定後、洗浄・乾燥してから次の測定を行ってください。
粘度計でオイルに使える商品はありますか。カタログをみましたがオイル使用について記載がありませんでした。
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オイルにも様々ですが、使用可能と思います。カタログ記載の動粘度測定範囲から選んでください。試料によっては、例えばJIS規格などで粘度の測定方法が規定されている場合がありますので、ご確認ください。当社の粘度計は「JIS K2283 原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」を参考にしています。
水で30℃の時に落下秒数100~150秒のものはどれですか。
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粘度計定数=動粘度/落下秒数 の関係があります。水30℃の動粘度は0.8ですので、落下秒数100秒の時の定数は0.008(=0.8/100)、150秒の時は0.005(=0.8/150)。粘度計定数が0.005~0.008辺りとなります。