技術情報

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2016年4月13日

はじめに ガラスの材質と
マークについて
ガラス器具の
種類と役割
ガラスに関する
用語
ガラス器具を安全に
使用するために

5. ガラス器具を安全に使用するために

当社の理化学用ガラス製品は化学的特性、耐熱性、透明性に優れた材質で製作していますが、反面機械的衝撃にはもろく壊れやすい性質があります。これらの取り扱いには十分注意しながら、切傷、火傷をなさらぬようお願いします。
なお化学実験においてガラス器具をはじめ科学機器類を使用する場合は、必ず保護具(ゴーグル、プロテクター、手袋など)を用いてください。
また、中でも意外と多いのが大きいビーカーなどを持ち運ぶ時の破損事故です。
特に中身の入ったビーカーを持つときは、下図のように側部(B)や底部から支えるよう(C)にして慎重に持ってください。
ビーカーのふちの部分(A)をつかんで持ちあげたり、振ったりすると破損します。
破損により内容液に触れて火傷したり、破断面で切傷を受けたりする恐れがありますので、ご注意ください。
(A) (B) (C)
chuui_1_a chuui_1_b chuui_1_c
加熱する場合
heat
●弱熱より徐々に加熱してください。直火で使用される場合も同じですが、局部加熱は避けてください。
均一加熱を行うためには、セラミック金網等を使用してください。
●沸点の低い物質や引火性物質を加熱する場合は、直火や電熱器の使用を避け、湯煎器(ウォーターバスやオイルバスなど)を使用してください。湯煎器の使用においても、安全には十分配慮してください。
●加熱終了後、床や台の上に置く場合は安全面に配慮してください。濡れた布の上や冷たい物の中に入れる場合は、急激な温度変化によるショック(サーマルショック)で破損することがありますので十分注意してください。
●加熱した容器をつかむ場合は、火傷防止のため必ず耐熱手袋や専用ハサミ(トング)などの器具を使用してください。
●加熱中に容器を上から覗くのは避けてください。内容物が急にふき出す可能性があり大変危険です。
減圧で使用する場合
decompression
●一般的に減圧用のガラス器具は、厚みのある製品で、減圧用デシケーター、吸引フラスコ、ろ過器等です。
化学反応試験や減圧蒸留試験には、丸底フラスコ、なす形フラスコ、梨形フラスコ、ケルダールフラスコなどが用いられますが、使用する前には必ず「キズ」「歪み」「偏肉」などが無いことを確認してから使用してください。
●平底フラスコや三角スラスコなど底が平らな物は、構造上の強度が弱いので危険です。減圧はしないでください。
●ロータリーエバポレーターを使用される場合には、プロテクトシールド(ガード保護具)をお薦めします。
加圧で使用する場合
pressurization
●ほとんどの理化学用ガラスは、加圧で使用することはできません。
●あえて使用する場合は、「キズ」「歪み」「偏肉」などが絶対に無く「形状」を考慮の上、微圧に限ります。
(但し、実施条件に張力、その他物理的条件を加味し余裕のある限界を確認してから使用してください。 また、万一に供えて被害を防ぐため、必ず防護スクリーンなどの安全対策を施してから、使用してください。)
滅菌する場合
(オートクレーブ使用の場合)
bubble
●ガラス器具に「キズ」「歪み」「偏肉」などがないことを確認してください。
●キャップは「外す」か、「一回転以上ゆるめて」ください。2000mL以上の場合はキャップを「外して」ください。
●オートクレーブの金属面にガラスが直接触れないようにしてください。
●取り出す際は常温に戻してから出してください。急激に温度を下げる(強制冷却)ことは避けてください。
●できるだけほうけい酸ガラス-1(HARIO、DURAN®、PYREX7740)で製作されたガラス製品をお薦めします。
洗浄する場合
safety_2
safety_1
●新しく購入されたガラス器具は、必ず洗浄してから使用してください。
●実験に使用したガラス器具は、一般の洗浄程度では残留物が付着している場合があります。
特にテーパージョイントの部分には付着する場合があり、次の分析に支障をきたすことがあります。
その場合は、希硝酸液を用いて、超音波洗浄器等で洗浄してください。
●超音波洗浄器を用いて洗浄される場合
①ガラスに「キズ」や「ヒビ割れ」があるものを超音波洗浄器にかけると破損します。
②超音波洗浄器によっては、洗浄槽に直接入れないで“洗浄用かご”や“間接容器(ビーカー)”にて、使用しなければ
ならない物がありますのでご注意ください。
③洗浄液は使用頻度に応じて適時交換してください。「キズ」や「汚れ」の原因になります。
●洗浄液および付着物は、直接捨てられないものもありますので、廃水には十分ご注意ください。
●洗浄剤を使用した場合は、「ゆすぎ」を十分に行ってください。その後は器具乾燥器などで乾燥後保管してください。
特に計量用ガラス器具は風乾、ピペット類はアスピレーターなどで減圧乾燥してください。
●洗浄には中性洗剤をご使用ください。アルカリ洗剤はガラスの性質上、悪影響をおよぼします。(詳細は洗浄剤についてを参照)
●洗浄剤はその目的に応じたものを使用してください。臨床分野では殺菌剤入りのものもあります。
●ガラスコックやガラス栓には必ず合紙をはさんで保管してください。
●金属たわし・研磨剤入りスポンジ・クレンザーは使わないでください。ガラスの表面に傷をつけ器具の寿命を短くします。
●ひと通りの洗浄が終わったら最後に純水(イオン交換水、蒸留水、精製水)で仕上げの洗浄をしてください。
乾燥する場合
dryer
洗浄後のガラス器具は、原則として乾燥枠・棚で自然乾燥させましょう。
●急ぐ場合は電気定温乾燥器の中に入れることもありますが、この場合 乾燥器中の温度は30~40℃くらいで行い、ガラス器具はできるだけ上部の棚におく ようにします。ただし、すでに乾燥中のものに加えて新しく洗浄した器具を入れるときは、雫が落ちるのでその下の棚に置きます。
※原則:本来は水切り後に乾燥器に入れましょう。
●高温にセットした乾燥器中にむやみに器具を入れると、乾燥中に破損することもあるので注意してください。
●ヘヤドライヤーを使用してもよいですが、ジェットヒーター(強力なヘヤドライヤー)は使用しないでください。
●細い器具や曲がった細管の内部を手早く乾燥したい場合は、洗びんに入れたアルコールを細い管に通したあとアスピレーターで吸引して乾燥させてください。
注意:水の逆流で思わぬ失敗をすることがあるので、必ずバッファータンクをつけて使用してください。また火気は厳禁です。
洗浄剤について
050810-700,800_1

ガラスは一般的に酸に強くアルカリに弱い性質があります。強アルカリの洗浄剤を使用すると表面が白濁したり白色マークが剥がれ落ちる可能性があります。
一般的な洗浄剤として中性を用いることをお勧めします。また使用温度は洗浄剤に合せてた適温でご使用ください。
おおむね50℃前後がよいとしてあります。

お勧め製品
洗浄剤 シバタクリーンA
品目コード 充填量
050810-700 2kg
050810-800 20kg

価格についてはお問合せください

   
  中性で無リンのためガラス実験器具の洗浄に適しています。
標準では5%希釈の浸け置きタイプで使用してください。超音波洗浄器にもお使いになれます。
有機溶剤を使用する場合
youzai
有機溶剤を使用される場合は、必ず適切な排気装置が付いた部屋でご使用ください。
すり合わせガラス器具を使用する場合
suriawase
●テーパージョイントは、ガラス表面を研磨していますので、強度としては弱くなっています。強い衝撃を与えないでください。
●すり合わせガラス器具を何個かつないで使用する場合は、テーパージョイント用クランプをすり合わせ部にセットしてください。
●すり合わせ部分が合わない場合は、径違いアダプターを使用してください。
●すり合わせ器具やガラスコック、ガラス栓などは、すり合わせ部分が固着しはずれにくくなる場合があります。
これを取り外す時は次の処理をおこなってください。
①熱湯に浸し内側のガラスが熱くならないうちに、適度な力で引っ張り加減で回してください。または、木槌で軽くたたいてください。
②溶液を使用される時は、浸透性の強い界面活性剤の薄い水溶液を、すり合わせ部分の縁にかけてから暫く待ち、布等をあててつかみ、適度な力で回しながら引っぱり加減で外してください。
ねじ口びんを使用する場合
nejikuchi
当社が販売するDURAN GROUP社のDURAN®ガラスの「ねじ口びん」は、数多くの分野において汎用的にご使用いただいており、それだけ使い方も多種にわたっています。
この「ねじ口びん」をさらに有効にご使用いただくため以下のことにご注意ください。
◇使用上の注意(共通事項)
・ねじ口びんは、JIS R3503でいう材質は「ほうけい酸ガラス-1」で、化学的特性などに優れていますがガラス製品であることを十分ご理解の上、お使いください。
・液体は満杯に入れないでください。圧力により少しの衝撃でびんが割れる可能性があります。
洗浄する場合
(ねじ口びん)

safety_2
ねじ口びんは、強アルカリ、研磨剤入りの洗剤での洗浄は避けてください。表面を白濁させる原因となります。
ガラスの洗浄に適した洗浄剤 シバタクリーンAの使用をお勧めします。
凍結する場合
(ねじ口びん)
ice
内容物の膨張による破損を防ぐために、液体を満杯に入れず4分の3までにしてください。また液体の表面積をできるだけ広げるため、斜めか横に倒して凍結してください。
加熱する場合
(ねじ口びん)
heat
内容物の膨張や、圧力上昇によるびんの破損を防ぐため、キャップは外してください。
また弱熱から徐々に加熱してください。加熱したガラスを温度差の大きい物体の上に置く場合は、サーマルショック(急激な温度差によるガラスの耐熱許容範囲)以内であるよう十分に注意してください。
通常のねじ口びんのサーマルショックはΔ100℃です。またプレミアムボトルはΔ160℃です。
運搬する場合
(ねじ口びん)

truck
5000mL以上の場合は、内容物の重さで底が抜ける場合があります。
びんは、ねじ口を持たず底を支えるように運んでください。
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減圧する場合
(ねじ口びん)
 
decompression
本来減圧で使用する製品ではありませんがやむを得ず減圧で使用する場合は、「キズ」「歪み」「偏肉」などがないことを確認してゆっくり減圧してください。
加圧する場合
(ねじ口びん)
pressurization
加圧で使用することはできません。
ただし、HPLCねじ口びんは-100kPa~150kPaまでの耐圧性があります。事前に「キズ」「カケ」のないことを確認し、ご使用ください。
 
滅菌する場合
(ねじ口びん)
 
bubble
オートクレーブ使用の場合
●ガラス器具に「キズ」「歪み」「偏肉」などがないことを確認してください。
●キャップは「外す」か、「一回転以上ゆるめて」ください。2000mL以上の場合はキャップを「外して」ください。
●オートクレーブの金属面に直接触れないようにしてください。
●取り出す際は、常温に戻してから取り出してください。急激に温度を下げることは避けてください。
●メンブランキャップを使用の場合は、メンブランフィルターにより気体が通過しますので、しっかり締めたままご利用できます。
事前にキャップを緩めたり、オートクレーブの後に締め直す必要はありません。
 
乾熱滅菌の場合
(ねじ口びん)
 
bubble_small
●びん自体は耐熱性が500℃までありますので乾熱滅菌にかけられます。
●キャップ・部品類は素材により耐熱性が異なりますのでお問い合わせください。
●セーフティコートねじ口びんは乾熱滅菌にはかけられません。
 
高真空グリースレスバルブを使用する場合
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グリースレスバルブは耐薬品性に優れ、高度のガラス加工技術によって製作された高精度なバルブとして、研究開発及び製造の分野でご好評を頂いています。

グリースレスバルブは、主にほうけい酸ガラスを用いて製作されます。ほうけい酸ガラスは耐蝕性、及び耐熱性にすぐれ、無色透明で内部の状態を目視で確認することができます。
また、硬い性質を持っており、圧縮に対しては非常に大きい抵抗力を示しますが、まれにバルブの締め過ぎなどにより、破損するケースがあります。
正しく安全に、かつトラブルを未然に防ぐため、以下の点にご注意下さい。

1. 使用前に点検し、ガラス部にキズ・カケの有る物は使用しないで下さい。
2.
製品の使用目的に沿った方法でご使用下さい。
3.
製品を落としたり、衝撃や曲げの力を与えないで下さい。
4.
局部に力や熱を加えないで下さい。
5.
ガラスの破損によって、内容液を浴びて火傷をしたり、ガラス片・破断面により負傷されぬよう、対策をお取り下さい。
6.
バルブを締めすぎないで下さい。まれにガラスが破損する可能性があります。
7.
Oリングにキズがある場合、膨張が見受けられた場合は、Oリング(芯棒セット)を交換してください。
8.
Oリングがめくれている(Oリング溝からはみ出ている)場合は、無理にバルブを動かさず、メンテナンスに出してください。

バルブを締めすぎると、まれにガラスが破損する可能性があります。以下のイラストを参考にして締めすぎない様、ご注意ください。

<バルブを正しく締めた状態>
Oリングが2つともガラスに密着し、シールされている。(ガラスに密着した線が2本線) バルブ先端のOリングがガラスに密着し、シールされている。(ガラスに密着した線が1本線)
bulb_1 bulb_2
<バルブを締めすぎた状態>
どちらかのOリングがガラスから離れている。(ガラスに密着した線が1本線となっている) バルブ先端のOリングだけではなく、PTFE芯棒もガラスに密着している。
bulb_3 bulb_4
ガラス製品の寸法について
scale
本サイトに記載されているガラス製品の寸法は、実際には±の許容範囲内で製作していますので、目安としてご利用ください。 
その他の取り扱い注意
kinsi
●クランプを使用してガラスを固定する場合は、ガラスと金属が直接触れないよう注意してください。また過度の締め付けにも注意してください。
●内容物が液体から固体、固体から液体などの変化をする場合、体積の変化により圧力が上昇してガラスが破損する場合があります。
用途に十分注意し、それぞれの状況にあった使用をしてください。
●ゴム管やゴム栓の取り付け、またはずす際はかならずタオルや手袋などで手を保護してください。また無理に力を加えず、取り付ける際は、ゴム管の内部を水などでぬらし滑りやすく、はずす際はナイフを用いて切り取ってください。
 
お礼:
ここに明記した「理化学用ガラス」の資料は、経験豊富な実務者ならびに賢人の方の知識とアドバイス、そして公開中の書籍等をもとにして作成したものです。厚く御礼を申し上げます。
参考書籍:化学系実験の基礎と心得(倍風館)、 化学実験操作法(南江堂)、 化学大辞典(共立出版)
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