平成30年度 室内環境学会にて「論文賞」受賞
2018年12月19日
平成30年度 室内環境学会にて論文賞を受賞しました。 この賞は、室内環境の分野での独創的研究、新規性に富む研究の創出、技術・学術・社会的観点から有用な研究を奨励することを目的として、優秀な研究者を表彰するものです。
【論文賞】
携帯型環境たばこ煙中ニコチン捕集装置の開発
―送風型パッシブサンプラー(semi-active sampler)を用いたニコチン個人ばく露量調査―
柴田科学株式会社 鈴木 義浩 成蹊大学 野口 美由貴 柴田科学株式会社 福島 靖弘 静岡県立大学 雨谷 敬史 産業医科大学 秋山 幸雄 柴田科学株式会社 榎本 孝紀 成蹊大学 山崎 章弘 横浜国立大学 中井 里史 |
【論文概要】
受動喫煙のマーカー物質としてニコチンの個人ばく露量を調査する場合、ガス状及び粒子状のニコチンを捕集する必要がある。アクティブ法では電源の寿命や携帯性に問題があり、パッシブ法では粒子状のニコチンが拡散層を通過できず、ニコチン捕集量を過少評価する可能性がある。本研究ではニコチンの個人ばく露量を測定する方法として、セミアクティブサンプラーを用いた手法を開発した。本サンプラーは、ニコチン捕集材にL-アスコルビン酸担持PUFを設置し、試料空気を小型ファンによって吸引する構造である。アクティブ法により求めたニコチン濃度と、本法によるニコチン捕集量は良い直線関係を示した。サンプリングレートは既存パッシブ法より60倍程度向上し、低濃度のニコチンが測定可能となった。また、ニコチンばく露測定に適用し、ニコチン捕集量から受動喫煙の程度を喫煙相当本数として示すことが可能であった。以上から本手法は、環境たばこ煙中のニコチンの捕集、個人ばく露調査に有用であることが明らかになった。