ナノ粒子について
“ナノ”とはどのようなものなのか?
●ナノとは
1ナノメートルは10億分の1メートル。お米が約1000分の5メートル、髪の毛の太さが約1万分の1メートルです。細菌でさえ100万分の1メートルなので、どれだけ小さいことか・・・。 たとえ話で地球の大きさを1とすると10億分の1の大きさはビー玉くらいだそうです。
●ナノテクとは
ナノテクノロジーの略称です。100nm(ナノメートル)未満のサイズの物質から製品を造る技術のことを言います。
どんなに複雑な物質でも、100種類程度の原子という小さな粒から成り立っています。この原子をいろいろ組み合わせたり、並べ方を変えたり、自由に組み立てられると物質そのものの性質を変えることができ、これまでに作ることが出来なかった小さな部品や機械を作ることができます。今まで作られていた物もナノテクを応用すれば異なる性質や特性を生み出せてしまうことが解っています。
またナノサイズ加工技術の発達により、あらゆる機器が小さくなったり、高機能化する可能性が大きくなっています。世界各国でナノテクノロジー開発予算を年々増やしており、食品、医薬品、素材、材料と幅広いナノテク開発が行われています。
数字表記 | 単位表記 | 単位読み |
10-1 | d | デシ |
10-2 | c | センチ |
10-3 | m | ミリ |
10-6 | μ | マイクロ |
10-9 | n | ナノ |
10-12 | p | ピコ |
10-15 | f | フェムト |
●市場動向
材料分野:
フラーレンは60個の炭素原子をサッカーボールのような形に結合させたもので、直径0.7ナノメートルほどの球体です。このフラーレンをプラスチック材料に混ぜると、電気的性質や機械的強度が増すことが判っています。
カーボンナノチューブは直径が2~3ナノメートルの筒状をしており、炭素同士が強く結びついているので鉄の10倍以上の強さがありながら、綿よりも軽い物質です。軽くて強いだけではなく、ハチの巣構造の巻かれ方次第では電気をよく通す性質も持ち、電流の増減を調整出来る半導体のような性質も持っているそうです。
ナノガラスはナノサイズの穴を開けて、ガスや有害物質を分離することが出来ます。
走査型電子顕微鏡では0.5ナノメートルまで、透過型電子顕微鏡では0.1ナノメートルまで、見ることが出来るそうです。またとがった針で接触して測る走査プローブ顕微鏡では垂直方向に0.01ナノメートルまで凹凸が判るものもあります。
コンシューマー分野:
形状記憶シャツ等はナノファイバーを使用して繊維を加工しています。テニスラケットにはフラーレンを使用し質量を増やさずに強度を上げています。めがねのレンズにはフッ素コーティングすることでくもり止めや汚れがつかないようにしています。
情報通信分野:
電子基板やICチップの回路をナノサイズ加工することにより、大変小さくすることができ、パソコンや携帯電話等の部品に使用されています。記憶装置も同様に小型化することによって記憶容量が飛躍的に増えています。
医療分野:
ドラッグデリバリーシステム(通称:DDS)という考え方があり、患部だけに薬を届けるという方法です。
これにはフラーレンを用いて薬を包み、正常な細胞には吸収されないようにする試みが行われています。
バイオテクノロジー分野:
動植物を構成しているたんぱく質やDNAはナノメートルサイズであり、ナノテクにより体の一部になってしまう人工骨や人工皮膚、人工臓器の開発を行っています。
またバイオチップと呼ばれるガラスやシリコンをベースに作られたナノ加工チップにより、血液だけで健康状態が分かるという技術も開発されています。
豆知識
日本刀作りは、実はナノサイズで原子のならびを作り変えて強化しています。鉄を熱した直後に水を掛け、鉄の中の不純物をナノサイズでコントロールしています。
ナノ関連市場分野と対応する柴田科学の製品
分 野 と 市 場 規 模 05年億 円 |
品目・サービス等のカテゴリー | Ⅰ.最終製品 (装置・システム) |
II.部品 (デバイス) |
対応する柴田科学の 製品・技術 |
III.材料 (F:触媒・塗装・材料、 H:航空・輸送機器) |
IV.関連装置・サービス (E:超精密製造・加工、 G:計測評価装置) |
V.研究・開発・リスク管理 |
エ レ ク ト ロ ニ ク ス 分 野 |
表示・映像装置関係(970) | FED/SED、有機EL、無機EL、データプロジェクター | 高機能光学薄膜、ナノレンズアレイ、CNT光源 | ガラス容器 撹拌機 蒸留水製造装置 超純水製造装置 反応合成装置 超音波洗浄器 ガラスチューブオーブン 低温循環水槽 バキュームポンプ 分子蒸留装置 薄膜濃縮装置 |
・カーボンナノチューブ ・フラーレン ・ナノ繊維 ・ナノコンポジット ・ハイテンション鋼板 ・光触媒材料 ・ナノ磁性材料 ・ナノ金属 ・電波吸収体 ・ナノセラミックス ・ナノガラス ・分離膜材料 ・フォトニック結晶 ・ナノ標準粒子 ・航空機用材料 |
・ナノ成膜用CVD ・ナノ成膜用PVD ・インクジェットプリンタ(産業用) ・エッチング装置 ・ナノインプリント装置 ・次世代ステッパ ・EB装置 ・マイクロ流体デバイス ・ナノ金型 ・微粒子化装置 ・超臨界装置 ・SPM ・FIB ・TEM ・ナノテク製造(加工)サービス |
・各分野のナノ関連研究・開発
・ナノ分野の社会的受容性(健康への影響、公害等)の研究管理(公的機関等) ・ナノ分野全般に関わるリスク管理ビジネス |
記憶装置関連(3090) | インクジェットプリンタ | フラッシュメモリー、光ピックアップ、ディスクリートトラックメディア、パターンドメディア、次世代光ディスク | |||||
携帯機器関連(14006) | ユビキタス端末、HMD | ウェアラブルセンサ | |||||
演算装置関連(300) | 量子コンピュータ、分子コンピュータ | 次世代LSI、超高密度プリント配線基板、放熱部品、光集積回路、量子メモリ、CNTトランジスタ | |||||
通信装置関連(360) | - | RF-IDタグ、光デバイス、光配線 | |||||
センサ関連(615) | - | CMOSセンサ、加速度センサ、圧力センサ、CNTセンサ | |||||
フレクシブルエレクトロニクス デバイス関連(6) | - | 分子エレクトロニクスデバイス、電子ペーパー、有機半導体 | |||||
バ イ オ ・ 医 薬 ・ 化 粧 品 分 野 |
医薬品関連(90) | DDS、診断検査薬、人工生体材料 | - | ガラス容器 蒸留水製造装置 超純水製造装置 スプレードライヤー ガラスチューブオーブン 反応合成装置 ロータリーエバポレーター 分取クロマト 低温循環水槽 バキュームポンプ |
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バイオ関連(890) | 内視鏡、ポイントオブケアシステム | バイオセンサ、DNAチップ、抗体チップ | |||||
化粧品関連(170) | DDS、診断検査薬、人工生体材料 | - | |||||
燃 料 電 池 ・ エ ネ ル ギ | 分 野 |
発電関連(71) | 燃料電池自動車、家庭用燃料電池CGS、民生用/業務用燃料電池CGS | 携帯機器用燃料電池デバイス、 薄膜太陽電池、 色素増感型太陽電池、 熱電発電システム |
スプレードライヤー 分子蒸留装置 薄膜濃縮装置 |
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蓄電関連(4750) | - | リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ | |||||
環 境 分 野 |
環境関連(50) | - | ナノフィルター、メンブレンリアクター、極微量分析センサ | ||||
超精密製造・加工分野(942) | ナノ成膜用CVD、ナノ成膜用PVD、 産業用IJ、エッチング装置、ナノインプリント装置、次世代ステッパ、EB装置 | マイクロ流体デバイス、ナノ金型、微粒子化装置、超臨界装置 | 蒸留水製造装置 超純水製造装置 粒子発生装置 |
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触媒・塗装・材料分野 | 炭素系ナノ材料(185) | カーボンナノチューブ、フラーレン | ガラス容器 撹拌機 スプレードライヤー 反応合成装置 低温循環水槽 |
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樹脂系ナノ材料(70) | ナノ繊維、ナノコンポジット | ||||||
金属系ナノ材料(385) | ハイテンション鋼板、光触媒材料、ナノ磁性材料、ナノ金属、電波吸収体 | ||||||
非金属系無機ナノ材料(10) | ナノセラミックス、ナノガラス | ||||||
その他のナノ材料(220) | 分離膜材料、フォトニック結晶、ナノ粒子、ナノ標準粒子 | ||||||
計 測 評 価 装 置 分 野 |
計測評価装置関連(627) | SPM、FIB、SEM、TEM、SIMS、粒子径測定装置、TOFSIMS、光電子分光装置、オージェ装置、ラマン分光測定装置、近接場光学顕微鏡、フェムト秒レーザー、エネルギー分散型X線分析装置 | 低温循環水槽 | ||||
サービス関連(80) | ナノテク製造加工サービス | DMA+FCE | |||||
ナノテク分析サービス | |||||||
航空・輸送機器関連分野(200) | - | - | 精密微差圧計 | ||||
対応する柴田科学の製品技術 | パーティクルモニター、風速計、 環境試験装置(プラント) DMA+FCE |
ガラス器具、吸引ポンプ | ― | 有機合成装置、マイクロリアクター、スプレードライヤー、ガラス容器、超音波洗浄器、撹拌機、低温循環水槽、リアクター、DMA+FCE |
低温循環水槽、金粒子発生装置 | マスクフィッティングテスター、全身曝露実験装置、DMA+FCE、ダストフィーダー |
当社によるナノ関連の学会発表・研究論文の履歴
発表年月 | 題目 | 学会、刊行誌等 |
1999年11月 | 長尺電気移動度分級装置の試作と性能評価 | 第39回日本労働衛生工学会 |
2000年08月 | 長尺DMAを用いた1μmポリスチレンラテックス粒子の粒径測定 | 第17回エアロゾル科学・技術研究討論会 |
2000年12月 | 光散乱粉じん濃度計の粒径特性に関する基礎的検討 | 第40回日本労働衛生工学会 |
2001年09月 | 大粒子用長尺DMAの開発と1μm級ポリスチレンラテックス粒子の分級特性 | 冊子:空気清浄 第39巻第3号 |
2003年09月 | 大気中超微小粒子測定装置の開発と性能評価(その1) -装置概要及び超微小粒子測定における基本性能- |
第44回大気環境学会年会 |
2003年09月 | 大気中超微小粒子測定装置の開発と性能評価(その2) -装置概要及び超微小粒子測定における基本性能- |
第44回大気環境学会年会 |
2005年07月 | 大流量DMAの開発 | 第22回エアロゾル科学・技術研究討論会 |
2007年08月 | 金粒子発生装置の開発とその評価 | 第24回エアロゾル科学・技術研究討論会 |
2007年08月 | エレクトロスプレー粒子発生装置の開発と評価 | 第24回エアロゾル科学・技術研究討論会 |
2008年08月 | エレクトロスプレーを用いた市販粒子の発生 | 第25回エアロゾル科学・技術研究討論会 |
2009年06月 | 超音波霧化法による懸濁液からの超微粒子の発生 | 化学工業会 第74回年会 |
2009年11月 | 超音波霧化を用いた懸濁液からの試験用固体超微粒子の発生 | 第47回粉体に関する討論会 |
2010年3月 | 植物用エアロゾル曝露チャンバーにおける粒子発生システムの構築 | 第12回 化学工学会 学生発表会 |
2010年8月 | 表面積濃度計の開発とナノ粒子への応用 | 第27回エアロゾル科学・技術研究討論会 |
2010年8月 | 植物育成チャンバーにおけるサブミクロン粒子曝露システムの構築 | 第27回エアロゾル科学・技術研究討論会 |
2010年10月 | A plant-growth chamber system for the exposure to submicron aerosol particles | 13th Asia Pacific Confederation of Chemical Engineering Congress |
2010年11月 | エアロゾル表面積濃度計の開発と応用 | 第7回エアロゾルシンポジウム |
2011年8月 | An aerosol generator system for long-duration exposures of plants to submicrometer-sized particles | 7th Asian Aerosol Conference |
2012年1月 | 固定発生源からの微粒子排出挙動の表面積濃度による評価 | 東アジアにおけるエアロゾルの植物・人間系へのインパクト」シンポジウム |
2012年7月 | A Chamber System with Aerosol Generators for Exposures of Plants to Submicrometer-Sized Particles | 5th Asian Particle Technology Symposium |
2013年8月 | 圧電素子を利用した粗大粒子発生器の開発と評価 | 第30 回エアロゾル科学・技術研究討論会 |
2014年5月 | Simultaneous deposition of submicron aerosols onto both surfaces of a plate substrate by electrostatic forces | e-Journal of Surface Science and Nanotechnology Vol.12 (2014) p. 238-241 |
2015年2月 | 粒子濃度・成分計測装置の原理説明 | 第11回エアロゾル学会若手フォーラム |
2016年8月 | 流体シミュレーションを用いた機器のデザインのための検討 | 第33回エアロゾル科学・技術研究討論会 |
2016年8月 | エアロゾル計測のための流体シュミュレーションの産業的利用価値 | 第33回エアロゾル科学・技術研究討論会 |