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レジオネラ属菌対策に! 残留塩素濃度を管理する製品のご紹介

2025年01月28日

レジオネラ属菌は20~50℃で繁殖し、36℃前後で最もよく繁殖しますが、外気温が低い冬でも、「冷却塔」や「温泉」など、水温が保持されている環境ではレジオネラ属菌は増殖します。
この記事ではレジオネラ症とレジオネラ属菌が発生しやすい場所と対策についてまとめました。また、消毒に用いられる塩素剤の濃度確認を行える当社製品をご紹介します!

 

レジオネラ症とは

レジオネラ症(legionellosis)は、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)を代表とするレジオネラ属菌による細菌感染症です。
主な病型として、重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎(在郷軍人病)」と、一過性で自然に改善する「ポンティアック熱」が知られています。
レジオネラ症は「感染症の予防及び感染症患者に対する医療に関する法律」において、「四類感染症」に指定されています。

 

■どのように感染するか?
レジオネラ症は、主にレジオネラ属菌に汚染されたエアロゾル(細かい霧やしぶき)の吸入などによって、細菌が感染して発症します。
レジオネラ属菌はヒトからヒトへ感染することはありません。
  • エアロゾル感染
    レジオネラ属菌に汚染されたエアロゾルを吸入することによって感染します。
    代表的なエアロゾル感染源としては、冷却塔水、加湿器や循環式浴槽などが報告されています。
  • 吸引・誤嚥(ごえん)
    エアロゾル感染以外に、温泉浴槽内や河川で溺れた際に汚染された水を吸引・誤嚥したことによる感染事例が報告されています。
  • 土壌からの感染
    レジオネラ属菌が汚染された腐葉土の粉じんを吸い込んだことが原因と推定される感染事例が報告されています。
■日本での患者数は?
レジオネラ症は、1999年の感染症法の施行に伴って、全てのレジオネラ症感染者は都道府県に報告されるようになりました。
1999年からのレジオネラ症の患者数は、図のようになっています。
近年の検査法の開発・普及に伴い、報告件数は増加傾向にあります。
※図は公益社団法人 全国水利用設備環境衛生協会HPより引用
https://www.suirikyo.or.jp/information/legionella-graph2024.html


■感染リスクが高い人は?
高齢者や新生児は肺炎を起こす危険性が通常より高いので、注意が必要です。
また、大酒家、喫煙者、透析患者、移植患者や免疫機能が低下している人は、レジオネラ肺炎のリスクが高いとされています。

【引用文献】
厚生労働省HP「レジオネラ症」

公益社団法人 全国水利用設備環境衛生協会「レジオネラ症感染者数」

 

レジオネラ属菌が発生しやすい場所と対策

レジオネラ属菌は、入浴設備、空気調和設備の冷却塔、給湯設備、加湿器など、水を使用する設備に付着する生物膜に生息する微生物の細胞内で大量に繁殖するため、衛生上の措置を講ずることによって、これらの設備を発生源とするレジオネラ属菌による感染を防止することができます。

1.入浴設備

貯湯槽 お湯の滞留時間が長いため、低温だと繁殖しやすい。湯温を60℃以上に保ち、お湯を滞留させないようにする。
ろ過器 レジオネラ属菌は装置内でアメーバなどに寄生、増殖する。循環式浴槽のろ過装置は、1週間に1回以上、逆洗浄し、生物膜を除去する。塩素系薬剤の投入口は、浴槽水がろ過装置に入る直前に設置する必要がある。
循環配管 内壁に生物膜が形成されやすい。年1回程度は生物膜を除去、消毒することが必要。
気泡発生装置
ジェット噴射装置
打たせ湯
エアロゾルにレジオネラ属菌が含まれることがないよう、連日使用している循環させた浴槽水をこれらには使用しない。空気取入口から土ぼこりや浴槽水等が入らない構造にする。
シャワー 連日使用している循環させた浴槽水を使用しない。少なくとも週に1回、内部の水が置き換わるように通水する。シャワーヘッドとホースは 6か月に1回以上点検し、内部の汚れとスケールを1年に1回以上洗浄、消毒する。
露天風呂 露天風呂は外界と接しているため、レジオネラ属菌に汚染される機会が多くなる。露天風呂の浴槽湯が配管を通じて内湯に混ざらないようにする。

◎入浴設備で消毒に用いられる塩素剤の濃度
  1. 浴槽水の消毒
    浴槽水中の遊離残留塩素濃度を0.4 mg/L程度を維持し、1 mg/Lを超えないようにし、モノクロラミンで行う場合は、結合残留塩素濃度3mg/L程度を維持する。
    浴槽水の遊離残留塩素濃度を頻繁に(1時間毎、あるいは2時間毎など)測定する必要がある。消毒剤の濃度は、個々の施設で決めた頻度で測定・記録し、測定結果は検査の日から3年間保管する。
  2. 貯湯槽水の消毒
    60℃以上に保つことができず、レジオネラ属菌が増殖する危険性がある場合は、必要に応じて遊離残留塩素濃度を0.4 mg/L以上に保つ。
  3. 循環配管の消毒
    現行の循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルでは高濃度塩素消毒を5~10 mg/Lで行うことを推奨しているが、汚染の状況によってあるいは循環時間を短くしたい場合は10~20 mg/L、場合によっては50 mg/Lでの消毒が行われることがある。
    高濃度のモノクロラミンで消毒する場合は濃度を10 mg/L以上として、1時間以上循環した後に中和して排水する。
  4. オーバーフロー回収槽
    常時遊離残留塩素濃度を0.4~1.0mg/Lに維持するとともに、1週間に1回以上完全に排水して回収槽の壁面の清掃及び消毒を行う。
  5. 調整箱
    水道水を原水とする場合は沸かし湯と混ぜるために遊離塩素濃度が足りず、地下水の場合は遊離塩素が含まれていないため、カランやシャワーでの遊離残留塩素濃度が0.4~1.0 mg/Lに保たれるように調節箱に塩素剤を注入できる装置を設置する必要がある。
  6. シャワー、うたせ湯(管理方法の事例紹介)

    ●シャワーヘッドとホースの消毒方法の例
    月に1~2回、シャワーヘッドとホースを外し、可能であれば内部をブラシ類を用いて洗浄してから、遊離残留塩素濃度が10~50mg/Lの液に1~3時間漬け置いて消毒する。
    ●レジオネラ属菌が検出された場合の高濃度塩素による消毒の例
    台所用塩素系漂白剤(界面活性剤の効果が期待できる)の100倍希釈液(塩素濃度500 mg/L程度)、12%次亜塩素酸ナトリウムの200倍希釈液(塩素濃度600mg/L程度)またはジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(有効塩素60%)で作成した塩素濃度600 mg/L溶液(水1 Lに顆粒1 gを溶解)に30分間漬け置きする。その後水道水等ですすぐ。
2.空気調和設備の冷却塔
建築物の冷却水は、空調用冷凍機などの熱を発生する機器と冷却塔の間を循環して、発生した熱を冷却塔から放出するのに用いられる。
冷却水は、夏期に水温25~35℃程度であり、日射、酸素の供給、大気への開放、蒸発による有機物質の濃縮などレジオネラ属菌を含めて微生物や藻類の増殖に好適な環境となり、スライムを発生しやすい。冷却塔では冷却水が菌に汚染されていると、蒸発時に菌をエアロゾルとして空中に飛散させるため、レジオネラ症防止のために最も注意を払わなければならない建築設備の一つである。
貯湯槽 冷却塔および冷却水について、一月以内ごとに一回、定期的に、その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃および換水などを行う。
冷却塔に供給する水 水道法第四条に規定する水質基準に適合させるため必要な措置を講じる。
循環配管 一年以内毎に一回定期的に行うこと
冷却水管の清掃 一年以内毎に一回定期的に行うこと

 

冷却水中のレジオネラ属菌を抑制するには…
    • 運転開始時・終了時の化学的洗浄
    • 連続的な殺菌剤の投入
    • 定期的な清掃(物理的清掃)が必要
◎冷却水系の化学的洗浄で用いられる薬剤とその特徴
過酸化水素 塩素剤 各種有機系殺菌剤
使用濃度 数% 残留塩素として5~10mg/L 数百mg/L
(薬剤の種類により異なる)
特徴 有機物を酸化分解し殺菌。
酸素発砲しスライム剥離。
有機物を酸化分解し殺菌。
消費量を見ながらの補充添加が必要。
必要に応じ腐食防止剤を併用。
金属に対する腐食性が低い。

 

3.給湯設備
 レジオネラ汚染防止対策からみた中央式給湯設備の維持管理の要点
  • 給湯温度の適切な管理
  • 給湯温度の適切な管理給湯設備内における給湯水の滞留防止
  • 給湯設備全体の清掃
 給湯水の水質検査の結果、基準値を超える一般細菌が検出された場合、またはレジオネラ汚染 が認められた場合、必要に応じて、以下の対策を組み合わせて対応することが望ましい。 また、レジオネラ属菌の検査を自主的に実施することが望ましい。
  • 給湯水の循環状況について確認し、滞留水をなくす。
  • 換水(強制ブロー)する。
  • 貯湯槽等を清掃する。
  • 加熱処理(約70℃で約20時間程度循環)やフラッシングを行う。
  • 高濃度塩素により系内を一時的に消毒する。
  • 貯湯温度を60℃、給湯温度を55℃以上に保持する。
  • 細菌検査の回数を増やす。

 

4.加湿器
タンク内等において生物膜が生成されることによって、レジオネラ属菌をはじめとする微生物が繁殖しやすくなる。
そのため、加湿器のタンク内等に付着する生物膜の生成を抑制し、その除去を行うことが必要である。

●加湿装置(建築物の空気調和設備に組み込まれているもの)
  • 加湿装置に供給する水を水道法第四条に規定する水質基準に適合させるため必要な措置を講ずること。
  • 加湿装置の使用開始時及び使用期間中は一か月に一回以上、加湿装置の汚れの状況を点検し、必要に応じ加湿装置の清掃等を実施するとともに、一年に一回以上、清掃を実施すること。
  • 加湿装置の使用開始時及び使用終了時に、水抜き及び清掃を実施すること。
●家庭用加湿器(家庭等で使用される卓上用又は床置き式のもの)
タンクの水は、毎日完全に換えるとともに、タンク内を清掃すること。
【引用文献】
レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針

 

 

製品のご紹介

残留塩素測定器DPD法
残留塩素濃度0.05~2.0mg/Lの目視での測定に!

DPD粉体試薬を用いて、pH3~10の検水の残留塩素濃度を測定できます。

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※結合残留塩素濃度を測定する際は、DPD粉体試薬のほか、よう化カリウム粉体試薬も必要です。

 

残留塩素測定器 中濃度用
残留塩素濃度2.0~10mg/Lの目視での測定に!

「残留塩素測定器 DPD法」本体をお持ちの場合、中濃度用の比色板のみご購入いただき、比色板の付け替えが可能です。

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※結合残留塩素濃度を測定する際は、DPD粉体試薬のほか、よう化カリウム粉体試薬も必要です。

 

ハンディ水質計 アクアブ AQ-201
残留塩素濃度~2.00mg/Lのデジタルでの測定に!

こちらの製品は、水道法施行規則に新たに設けられました「別表第6携帯型残留塩素計測定法」に適合していることを確認しております。

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※結合残留塩素濃度を測定する際は、DPD粉体試薬のほか、よう化カリウム粉体試薬も必要です。

 

ハンディ水質計 アクアブ AQ-202
残留塩素濃度~300mg/Lのデジタルでの測定に!

ヨウ素試薬による吸光光度法で測定します。

300mg/L以上が想定される検水を測定される際は300mg/L以下になるように希釈をしてからご使用ください。

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簡易水質検査キット シンプルパック®
●シンプルパック®遊離残留塩素
遊離残留塩素濃度 0.1~5mg/L 8段階
入り数:48

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●シンプルパック® ミニ 遊離残留塩素
遊離残留塩素濃度 0.1~5mg/L 8段階
入り数:6

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●シンプルパック® 総残留塩素

総残留塩素濃度 0.1~5mg/L 8段階
入り数:48
●シンプルパック® 残留塩素1000

残留塩素濃度 5~1000mg/L 11段階
入り数:48