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食用油の劣化について

2020年04月27日

~酸価(AV)、過酸化物価(POV)を簡易測定してみましょう~

 

「油が劣化する」ってどういうこと?
油を空気にさらして長時間放置したり、光を当て続けたり、高温に熱したりすると、油は酸化したり、
加水分解を起こしたりします。このような状態を「劣化」といいます。

 

劣化した油を使い続けると、独特のにおいや風味につながります。

また、劣化した油を、食品製造工場や飲食店で使い続けると、お客様からの評判や信用を低下させてしまうだけでなく、劣化した油に敏感な消費者が食べた場合には、
下痢や嘔吐などを発症することもあり、大きなクレームにもつながりかねません。

 

油の「劣化度合い」の指標をご紹介!

 

では「油がどれくらい劣化しているか」をどのように判断したらよいのでしょうか。
主な劣化・管理指標をご紹介します。

 


加熱による油の重合反応や、揚げかすの影響などにより、着色は進みます。

 

粘度上昇率
加熱による油の重合反応が進むと、粘度が上昇していきます。

 

酸価(AV: Acid Value)
揚げ種から出る水分や空気中の水分によって、油が加水分解を起こすと、上昇していきます。
フライ油の管理に用いられる指標です。

 

過酸化物価(POV: Peroxide Value)
空気中の酸素やUVなどにより、酸化が進むと、上昇していきます。
油の自然劣化度合いを測りたいときに用いられる手法です。
※ 過酸化物の二次分解生成物は加熱によって他の脂肪酸と重合したり、
揮発したりしてしまうため、フライ油の管理には使用できません。

 

カルボニル価
過酸化物の二次分解生成物であるアルデヒドやケトンの含有量が増えると、
上昇していきます。

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※ 揚げ油の劣化メカニズムは複雑で、必ずしもこのとおりとは限りません。

劣化度合いは、油の色や粘度などの「見た目」や「におい」で判断することもできますが、この方法では、作業者によっては確実性に欠け、個人差が出てしまうことも否めません。

そのため、酸価や過酸化物価など、「数値」にして、客観的に劣化度合いを判断することが大切です。

 

令和2年6月から、HACCPに沿った衛生管理が制度化されます。

食品等事業者団体などが作成した「手引書」には、HACCPに沿った衛生管理をどのように取り組んだら良いのか、という具体的な方法が示されていますが、この手引書内で、酸価(AV)や、過酸化物価(POV)のモニタリングや検証を行うこと、という記載があります。

油脂に関する衛生規範は以下のように定められています。
参考資料:厚生労働省「酸価・過酸化物価に関する規定等」
https://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000ip55-att/2r9852000000ipvm.pdf

 

【参考資料】
HACCPに沿った衛生管理を行うためのモニタリングや検証で使用できる簡易測定キットはこちら
li-pdf-カタログ:食品衛生管理製品のご紹介

 

実験室がなくてもできる?!/

簡易キットをご紹介します!!

 

公定法に従って酸価(AV)、過酸価物価(POV)の測定を行おうとすると、食材から油の抽出をしなければならず、有機溶剤を使用したり、滴定装置などの実験設備が必要になったりします。

「大量のサンプルや溶剤などの試薬も必要で時間もかかる」
「実験室の設備がないとできない」 などいろいろ大変です・・・

そんなお悩みを解決する「酸価(AV)」と「過酸化物価(POV)」の簡易測定キットをご紹介します。

 

◎ フライヤー油などの加熱による劣化度(酸価:AV)の管理に
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     シンプルパックAV
       AV試験紙
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  (※)『弁当及びそうざいの衛生規範(昭和54年6月29日日環食第161号)』には
「揚げ処理中の油脂の酸価が2.5を超えたものは新しい油脂と交換すること」
という記載があります。
【メリット】

  ①店舗・作業者ごとの油劣化具合のばらつきをなくせて品質が向上します。
⇒消費者に向けて、安全性をアピールできます。
②フライヤー油の交換の目安が分かることで、早すぎる油の交換を減らせます。
⇒油の購入量も減り、コスト削減につながります。
◎ 空気中の酸素やUVなどによる油の自然劣化具合 (過酸化物価:POV)の測定に
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POV試験紙  POVテスター5型 POVテスター低濃度型 
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▼ 使い方はこちら ▼ 使い方はこちら ▼ 使い方はこちら
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【メリット】

①公定法と比較して、測定時間、サンプル量ともに大幅削減できます。
②実験設備がなくても、簡単に測定できます!